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JH=開館1カ月で7万5千人来場!=連日行列、年間目標を2カ月で=今後の課題は独自採算化

連日来場客で賑わう同館の様子

連日来場客で賑わう同館の様子

 「全くの予測外。レストランもカフェも連日完売です」―。予測を大幅に超え、連日賑わいを見せる日本政府の文化広報施設『ジャパン・ハウス』(平田アンジェラ館長)。一般向け開館した土日だけで来場者数が7509人を突破。その勢いは衰えることなく、1カ月間で計7万5千人以上が来場した。年間12万人という数値目標も僅か2カ月で達成しそうな勢いだ。

 当初、外務省から「高い」と言われていたという数値目標は、一日当たり500~600人で、年間12万人。ところがふたを開けてみると、休日は5千人以上、平日は雨天でも2千人は下らないというほどの勢い。
 「飛行機を乗り継いでナタウから見に来てくれた人も。全伯から来て頂いています」と平田館長は嬉しい悲鳴を上げる。
 開幕前からプレイベントなどで大々的に宣伝し、大きな話題を呼んできた。「中富裕層が高い関心を寄せている。大企業経営陣や映画俳優なども来館し、噂が広まり人が集ってきている」と見ており、好立地を活かした宣伝が奏功した結果と言えそうだ。
 それに加え、「マルセロ企画部長の着眼点も凄い。展示の価値を理解して下さっているのでは」と自信を覗かせ、大手製紙会社スザノ・パペウ・イ・セルローゼ社から「竹の技術を活かした装飾品をタイアップしたい」との具体的な話も上がっているという。
 19年3月までにサンパウロだけで約37億円の予算を計上し、それ以降は来場者数等の指標を総合的に評価し、事業継続の是非を判断する見通しだ。長期的には「事業の自走化」を目指しており、独自採算が取れるような収益の柱をいかに確立していくかが今後の課題だ。
 平田館長は、協賛のさらなる獲得や企業との間で共同事業を起こすなど「共に経済力をつけていければ」と展望を語る。
 同館での試験販売を通じて「市場参入を既に検討している企業もある」として無印良品を例に挙げた。ショールームとして多目的スペースを賃借することも視野に入れ、「全て無料でなく、講演などは入場料を払って参加頂くことにも価値がある」と一部有償化を考えている。
 目玉企画の『竹―日本の歴史』展は来月9日まで。その後は、積み方や組み合わせ方を変えれば無限大に可能性が広がる『積み木』をモチーフにした隈研吾氏の建築手法、日本人の繊細な感受性や独自の文化に息づく美意識を探る株式会社「竹尾」の『紙』に関する展示が同時開催される予定だ。
 平田館長は「ブラジル人が興味を感じられるものをいかに提供し続けられるかが鍵。これからが本番です」と気を引き締めた。


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 来月開催される県連日本祭に向けて、JHはブースでの出展ではなく宣伝協力を考えているという。具体的には、6万8千人を越えるのフォロワーを抱えるフェイスブックで同祭開催を告知するほか、チケット販売協力や同館で県連が記者会見を開催する予定という。また、協賛企業の協力を得て、開催期間はJHと日本祭会場を往復する巡回バス案が出ているとも。連日賑わいを見せる同館で宣伝すれば、効果は絶大か。

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