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《デカセギ》知られざる在日日系社会の厳しい現実(上)

在日ブラジル人コミュニティを長いこと見てきたアバンセの林隆春社長

在日ブラジル人コミュニティを長いこと見てきたアバンセの林隆春社長

 「35歳でオバアチャンっていうのが、あちこちにいるんだよ」――日本の大手派遣会社アバンセの林隆春社長が先月末に来社した折り、日本のデカセギ事情を聞いている最中に、そう言われて頭を抱えた。つまり、17歳ぐらいで出産を二世代に渡って繰り返している▼将来のことを深く考えずに訪日し、工場労働ばかりする両親は、子供の教育のことを考えない傾向がある。両親は残業、残業でろくに面倒をみない。子供は学校から落ちこぼれて不良化し、同じ様な仲間と集まって恋愛し、すぐに子供を作る。デカセギ・コミュニティの中にはそのような集団が相当数いるという▼コラム子は「2008年の金融危機の直後に大量帰伯した。その時に日本に残ったのは、日本の工場から『ぜひ残って欲しい』と嘱望された優秀な人材が多かったのでは。中には、ブラジルに帰るに帰れない人もいたとおもうが」と訊ねると、「違うよ。帰るに帰れない人の方がかなり多かった」と即答▼林社長は「ぜひ残ってくれと工場から頼まれたような人は少ない。みんなバカじゃないから、学歴がない自分たちがブラジルに帰ってもロクな仕事に就けないことは良く分かっている。日本語もポルトガル語も、それなりにしゃべるけど、ちゃんとした読み書きはどちらもダメ。そんな人材はブラジルに帰るより、日本に居た方がいいって思っているんだよ」と即座に反論され愕然とした▼しかも金融危機後の大量帰伯で、日本側コミュニティアは崩壊してしまったのだという。ブラジリアンプラザ設立趣意書にも《労働意欲やスキルの高い日系人が帰国し、派遣会社では一時的に管理者や通訳者にも事欠くほど、有為な日系人材が不足することになりました。加えてメンター(指導者)人材も帰国。日系人社会は連帯をなくし、羅針盤となる人たちが消え混迷を深めることとなりました》とある。それを補うために、林さんは同プラザを群馬県大泉町のコミュニティセンターとして再出発させようとしている▼生活保護も日本残留を後押ししているという。「できそうな仕事を紹介してやっても、計算してみると生活保護の金額の方が多かったりする。『そんなら生活保護のがいい』って断るんだ」という現実がある。つまり在日ブラジル人の相当数が生活保護をもらい、悲しいことに日本の納税者にぶら下っている▼しかも「生活保護は子供が多いほど高くもらえるので、子供が次々に生まれることに抵抗がない」と聞き頭を抱えた。ブラジル国内の下層階級と同じ思考回路で、「日系人」と呼ばれる人々が日本で生活をしている。そこから抜け出すには公教育を受けて、社会上昇するしかない▼ところが、同趣意書には《日本は義務教育全入学といいますが、(日系人の中学校)卒業者は約60~70%という現状、日本語が弱い日系人は進路指導も満足にない現実、療育手帳もない持たない公的支援の存在すら知らない障がいを抱えた子ども達は少なくありません》とある。外国人の場合、登校せず学力がなくても、自動的に中学卒業資格を与えられてしまう。「義務教育」というのは、「義務的に全員に学歴を与える」ことではなく、「全員に最低限の教育内容の取得を義務付ける」ことではなかったか▼中学の卒業者が6~7割なら、高校卒業者はその半分以下だろう。デカセギ第2世代が日本に適応して、8割が高卒になっていれば、少なくとも日本社会のことを良く理解して、地域住民との軋轢は相当に弱まる▼第2世代に投資して日本の公教育を受けさせることが、デカセギ受入れの最大の鍵のはず。それなのに、学校から落ちこぼれるままになっているから、どんどんと日本社会の最底辺に澱むような存在になり、幼くして子供を次々に生むような集団になってしまう▼日系人が日本に行ったことで将来的に貧困層化するなら、行かない方が良い。目先の高い賃金につられて「将来」を売ることになる。日本の産業社会の最底辺で使い捨てにされるなら、四世は日本に行かない方が良い。皆さんはどう思いますか?(深)

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