《ブラジル》11月に4世ビザ開始へ=下地衆議ら説明会で意見交換=四世本人ら約100人参加

新制度の見通しについて語る下地衆議

新制度の見通しについて語る下地衆議

 【既報関連】日系四世向けのワーキングホリデー(WH、外国で就労しながら長期滞在する制度)制度が今年11月から開始される見込みだと、下地幹郎衆議(みきお、55、沖縄県選出、日本維新の会)が21日、サンパウロ市の文協貴賓室で開催した「日系社会と連携」説明会で発表した。会場に集まった日系人と、最終調整のための意見交換が熱心に行なわれた。日本からの清水貴之参議、吉田豊史衆議に加え、当地の飯星ワルテル下議、呉屋春美文協会長らも出席した。

 世界中の18歳以上の日系四世のみに3年間のWHビザが与えられる制度になる見込み。国会で審議される法案ではなく、1990年6月の入管法改正(定住在留資格を三世までに緩和)と同じく、法務省の省令として発布される予定。
 最初の3年間は日本語や文化習得のため、労働と学習を義務付ける。受け入れ先の日本企業にも制度利用者に対する日語研修プログラムの作成と実施が求められる。「企業の実施状況をチェックする仕組みも必要」と考えている。
 下地衆議は最初の3年間を終えた時点で、二つどちらにするか考え中であると説明した。一つは「3年を終えた四世全員に、三世までと同じような定住権を付与する」、もう一つは「3年間しっかりと働いて勉強し、法律を犯さなかった人のみに出す」との選択肢だ。
 質疑応答ではレコルジTV局レポーターや、ブラジル外務省職員からの質問も飛んだ。後者からは「日本に行った子どもの多くが授業について行けず、大学進学は望めない。教育が受けられないから社会上昇ができない現実がある。外国人児童生徒への日本語支援は予定しているか」という問いが投げかけられた。
 同WH制度では配偶者や子どもの同伴訪日が可能となりそう。下地議員は「文科省が外国語のできる補助教員をつけて、外国人子弟への日本語学習支援を充実させる施策が実施される」と強調し、「子供の教育問題は深刻に受け止め、しっかりとした教育環境を作りたい」と返答した。
 下地衆議は日本の出生児数は100万人を切っており、「30年後、日本の人口は1億人を切る」と差し迫った少子高齢化に言及し、「だからこそ私達は日系社会の皆さんと連携して、共に歩んでいきたい」と締めくくった。
 今回、当地の派遣会社や関係機関の代表らとも懇談を持った。説明会の意見交換内容も含めて持ち帰り、8月一杯で制度設計を詰め、9月にサイトで公開してパブリック・コメントを集め、10月にそれを反映させ、11月には確定する段取りだという。

 

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 基本的に真面目な四世ビザの説明会だったが、下地衆議のユーモラスな受け答えで、会場はときどき爆笑の渦に。今週結婚予定のジョナタンさん(四世)からの「仮に日本で配偶者と離婚した場合、相手はどうなるのか」という質問が飛んだときも、「離婚により非日系の配偶者が一人になった場合、日本に残るのは難しいだろう」と答えつつも、「結婚する前から、離婚を考えちゃダメだよ」と会場の爆笑を誘った。
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 日本法務省統計の昨年末「都道府県別の在留資格別外国人」ブラジル人編を見ていて、意外に思ったのは「教授」資格で滞在するブラジル人が42人もいることだ。芸術関係が10人、宗教ビザは113人もいる。報道ビザが2人しかいないのは少し寂しい。相変わらず多いのは興行ビザの121人、おそらくサンバ関係者だ。留学ビザは414人、研修ビザは33人。圧倒的に多いのは「永住者」資格でなんと11万人。総数18万923人の軽く半分以上が、永住ビザ所持者。中でも愛知県の5万1171人中3万2533人、静岡県の2万6565人中1万6436人が「永住者」なのは飛びぬけている。四世ビザで、これがどう替わるのだろうか? ついでに日本人がブラジルに数年滞在できるビザも何とかしてほしいところ。