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《ブラジル》有機珈琲、南原に注目集まる=バリスタ世界王者も絶賛=「ロマンティックな風味」=フランカ市で品評イベント

挨拶をする南原さん(提供=ツヅキ・アルフレドさん)

挨拶をする南原さん(提供=ツヅキ・アルフレドさん)

 サンパウロ州北部、アルタ・モジアナ地域にあるフランカ市の日系農場「南原」で7月24日、高級コーヒーの収穫祭『ザ・アルタ・モジアナ・ハーヴェスト・フェスタ』が行われた。同農場とアルタ・モジアナ・カフェ・エスペシアイス生産者協会(AMSC)、ブラジル産の高級コーヒーを取り扱う専門商社アライ・コーヒー(以下アライ)が共催した。会場となった南原家の庭には、バリスタ世界王者など世界に名を馳せるコーヒー専門家11人のほか、AMSC会員の農場主など約80人が集まった。来場者らは南原農場で有機栽培された高級コーヒー(カフェ・エスペシアウ・オルガーニコ)や食事を楽しんだ。

 アライ社は昨年夏から、バリスタ世界王者など名高いコーヒー専門家とともにブラジルのコーヒー農場を訪問する「チャンプ・オリジン・トリップ」を行っている。専門家たちに生産地・生産者への理解を深めてもらうのが目的。前回はエスピリト・サント、ミナス・ジェライス州のコーヒー農場を訪問していた。
 アライ社のディレクター、リカルド・ペレイラさんに南原農場の生産品が評価され、今回の開催場所に指名された。
 夕刻、会場前方に設置されたテーブルに同農場の豆14種が並べられた。昨年度のバリスタ世界王者バーグ・ウーさん(35、台北)のほか、焙煎、抽出など各分野の世界王者らがテーブルに集まり、静かにカッピング(コーヒーの風味や味の評価)を始めた。

カッピング中の会場の様子

カッピング中の会場の様子

 関係者も次々に参加し、南原コーヒーを味わった。黙々と行われるカッピングを見守る人垣もでき、緊張した空気が漂った。ペレイラさんが評価発表を始め、甘味と酸味が評価された「カトゥ・カイアスー」、フルーツのような酸味が特徴の「イアパール」が高評価を得た。
 カッピング終了後、農場主の南原ジェトゥーリオさん(59、二世)が今イベントに感謝した。「まさかうちで実施されるとは思わなかった。ブラジルのコーヒーの質は向上し、高級品の生産も増えている。これからも良いコーヒーの生産に励みたい」と意欲を見せた。バリスタ世界王者らに記念品の革靴(フランカ名産)が贈られ、懇親の場となった。
 ウーさんは南原コーヒーについて「桃や杏のような甘味があるロマンティックなコーヒー」と微笑んだ。「バリスタとして、生産地を実際に見ることも大事。色々な設備や農場を見ることができて、楽しかった」と語った。テイスター世界王者のロク・チャンさん(30、香港)は「とても素晴らしいコーヒーだった。味や匂いのバランス良く、質が高い」と絶賛した。
 南原さんは「世界のバリスタが何人も自分の農場に集まり、生産品を楽しんでくれた。一コーヒー生産者としてこれほど嬉しいことはない」と語った。カッピング後には「南原コーヒーを買いたい」と多くの人に話しかけられた。「アライ社との商談も始まる。これから世界に向けて南原コーヒーを売り出したい」と笑顔を見せた。
 南原農場は1973年から同市でコーヒー生産を始めた。現在はフランカとクリスタイス・パウリスタ市に155ヘクタールの農場を持ち、内125ヘクタールでコーヒーとアボカドを生産している。毎年2千~4千袋のコーヒーを収穫している。

 

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 カッピングには1種の豆ごとに3つのカップが用意される。それぞれに挽いた状態の豆を入れ、匂いを評価していく。一つでも匂いが違うものがあれば、『欠点豆』が雑じっていると評価が落ちる。このため、収穫、選定の際にとても気を使うのだとか。これが一番目の評価手順。次に全てのカップにお湯が入れられ、また匂いを嗅いでいく。匂いの性質は勿論、香り方なども評価対象と。プロになると、カッピングの2~1週間前は匂いのきついもの(玉ねぎやカレーなど)を食べないようにするそうだ。
    ◎
 コーヒーの味見は音を立てながら口に含み、口に入った際の香りや味を感じる。この作業はコーヒーが冷めるまで10~12分間続けられる。アロマ(匂い)、コルポ(口あたり)、酸味、甘味、味の余韻、味のバランス……などを総合的に評価する。カッピングの経験を増やしていくことで珈琲豆の全体的な評価ができるようになっていくのだとか。「ワインと一緒だよ」と皆口を揃える。ブラジルでは一般的に、苦みが強烈な深煎り豆ばかり。それに慣れた口で、微妙な酸味や甘みを評価していくのはけっこう大変かも?

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