ホーム | 日系社会ニュース | 《ブラジル》移民110周年=大祭典に向け、協力に手応え=菊地委員長、二度目の訪日=「一致団結し、真剣勝負」

《ブラジル》移民110周年=大祭典に向け、協力に手応え=菊地委員長、二度目の訪日=「一致団結し、真剣勝負」

過密な日程で東奔西走した菊地委員長

過密な日程で東奔西走した菊地委員長

 ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の菊地義治実行委員長は、先月27日から11日にかけて訪日し、翌年の日本祭への参画と移民110周年記念式典への出席を要請するため、一都一道八県を駆け廻った。20日、取材に応じた菊地委員長は、訪日に好感触を示すとともに、翌年の大祭典に気を引き締めた。

 委員長として2度目の自費訪日となった菊地委員長は、北海道、山形、東京、神奈川、愛媛、岡山、広島、高知、熊本、鹿児島など各地を奔走。宮内庁、外務省、日本ブラジル中央協会、海外日系人協会、国際協力財団、日本財団へも訪問し、招待状を届けた。
 翌年に開拓150周年を迎える北海道や、大震災に見舞われた熊本などを除いては、「非常に感触が良かった」と手応えを感じたようだ。
 特産品の出展など中小企業への同祭参加の県庁からの後押しや、同祭での県人会活動支援を要請したといい、かつて県連副会長を務め、各県人会と母県との繋がりや県人会活動を熟知する同委員長ならではの〃菊地節〃が炸裂したようだ。
 訪問した広島日伯協会では、「広島ではお好み焼きが有名だが、日本祭では和歌山県人会に販売数で負けている。広島県人会に指導員を送るなど、広島焼きの普及に手助け頂きたい」と協力を仰ぐと、「協力しましょう」という前向きな返事もあったという。
 また、日本から議員団が訪伯する度に、常々協力を仰いできた成果も実り、横浜市議の伝手で横浜のラーメン博物館を視察。サンパウロ市でラーメン戦争が勃発するなか「横浜は移民を送り出した地。その大事な町から今度はラーメンを持ってきて頂けないか」と同館事務局長に申入れたという。
 菊地委員長は、「JHにも宣伝協力をしてもらい、来場客は30万人を見込む。日本祭は日系社会の信頼と信用の証。日本からの人には驚く祭になるはず」と語り、日伯両国の文化経済交流の糸口とする方針だ。
 今回訪問できなかった所については、10月に開催される海外日系人大会に参加する呉屋春美会長が訪問する予定だ。
 そのほか、外務省では中前隆博中南米局長(前在サンパウロ総領事)らとも会談。そのなかで「来年はエクアドル移民百周年もあるがブラジルは特別。皇室の御来訪については、併せてということでなく個別に検討する」との話があったという。
 サンパウロ州移民110周年記念式典が開催される同日午後から、パラナ州移民110周年記念式典が開催予定とされていることに対して懸念も浮上。菊地委員長は「パラナ州110周年実行委員長の西森連邦下議が10月に訪日する前に、開催日時につき協議したい」とした。
 また、日程が合わず、皇室が別日程で御訪伯される場合にも、バンデイランテス宮殿などで歓迎会を行うとした。
 菊地委員長は、「せっかく頂いた大きな期待も、団結して協力しなければ、信頼をなくしてしまう。日系社会の信頼を裏切らないよう、行動規範を守り、それに応えるような行動を取っていかなくてはいけない」と襟を正し、「個々人の力を結集させ、将来の日系社会の財産になるよう真剣勝負でやっていく」と翌年の大祭典を見据えた。

 

トヨタ自動車=110周年でプリウスを贈呈=翌年設立60周年も

(左から)菊地委員長、呉屋会長、チャン社長

(左から)菊地委員長、呉屋会長、チャン社長

 ブラジル日本移民110周年記念事業の資金集めのため行われるリッファのため、ブラジルトヨタ自動車(ラファエル・チャン社長)は、「プリウス」を13日、イビラプエラ公園の日本館でブラジル日本移民110周年記念祭典委員会(菊地義治実行委員長)に贈呈した。
 贈呈式には、チャン社長、下村セルソ副社長、リカルド・バストス渉外広報部取締役ほか、日系社会から呉屋春美文協会長、与儀昭雄援協会長、山田康夫県連会長、菊地委員長、関口ひとみ在聖首席領事ら40人近くが参席した。
 挨拶に立ったチャン社長は「移民110周年に貢献できることを大変嬉しく思う。プリウスが大きな助けになることを期待する」とした上で、「来年は日本移民のみならず弊社にとっても特別な年になる」と語り、海外初拠点として58年にブラジルに進出し、来年創立60周年を迎える。
 続けて、「プリウスのハイブリッド技術は将来の自動車産業を見据えたもの。移民110年の過去とハイブリッド技術のように未来を見据え、いつまでも日系社会と共にあり支援してゆくことを約束する」と強調した。
 呉屋会長は、同社に対して深く感謝の意を述べた上で、「日本とブラジル両国の歴史の重みに鑑みてm今日この場所を選んだ」として、「110年の節目に先人の足跡を想起し、将来の全日系社会やブラジル社会に資する遺産を残していきたい」と誓った。
 なお、現在、ブラジル連邦貯蓄銀行からの早期認定に向け協議を進めており、早ければ10月にも開始される見込み。一枚30レアル30万枚販売をする。

 

□関連コラム□大耳小耳

 プリウスは13年からブラジルでの輸入販売を開始。二つの動源力を効率的に切替えることで、ガソリン消費節約に繋がるだけでなく、静かなエンジン音で快適な走行を楽しめることが魅力だ。以前は35%だった輸入関税が4%に引き下げされ、サンパウロ市やリオ市では自動車保有税が半額返還されるという特典も後押しし、下村セルソ副社長によれば、「顧客にプリウスの価値が浸透されてきている。その成果もあって先月には500台販売され好調」という。だが、これまでのブラジルでの販売台数は2600台ほどで、およそ12万7千レという高級外車。嘗てない豪華な景品となるリッファに注目を呼びそうだ。

image_print