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南仏の伝統工芸ブティ=日本人作家中山さん来伯

(左から2番目下)指導する中山さんと生徒

(左から2番目下)指導する中山さんと生徒

 パッチワーク作家のジェナリ久美枝さん(聖市在住)は、南仏の伝統工芸「ブティ」作家の中山久美子ジェラルツさん(茨城県、57)を招待し、ブティのワークショップを13日、聖市の鳥取県人会で行った。集まった約20人の参加者は日本人ブティ作家の第1人者でもある中山さんの話を熱心に聞いた。終了後には懇親会が開かれ、和やかな交流の場となった。

 初来伯の中山さんは6~9日にパラナ州都クリチバ市で開催された「国際パッチワークフェスティバル」でもワークショップを実施。「天気も良く人は陽気で、見ているだけで圧倒される」と当地の印象を語った。
 また、ブティの魅力について「時間を掛けられる贅沢、根気の要る作業。洗ったり使ったり、年を取る工芸品である」と紹介した。
 ブティの発祥は600年前、イタリアのシチリア島とされる。2枚の白く薄い布を柄に沿い縫い、コットン糸をつめて柄にふくらみを持たせるのが特徴。「布の彫刻」とも呼ばれる。
 17世紀終わり頃から19世紀、南仏を中心に人気を集めたが、第1次世界大戦の頃に衰退し、生活様式の変化で次第に忘れ去られていった。だが、20年ほど前に仏のゴーサン女史が材料や技術など現代に合わせたもので開発し、ブティの本を出版。
 近年は、同伝統工芸を残そうという機運が高まっており、南仏で2年に1度ブティ専門展示会が行われている。
 中山さんは参加者に「糸やボタンなど、仕上げや小さいところまで気を配ることで美しい作品ができる」と呼びかけ、会場の各テーブルを回り参加者と談笑しながら指導していった。
 参加した末長勇美子さん(65、熊本)は「刺繍は気持ちが落ち着くので大好き。中山さんの作品は素晴らしい」と微笑んだ。
 ジェナリ久美枝さんも「先生の本を生徒に見せていたので、皆楽しみにしていた。12日にはジャパンハウスでもワークショップを行ったが、生徒の皆さんも盛り上がってくれた」と喜んだ。

 

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 ブティ作家の中山さんは「もともと絵を描くのが好きで、柄のあるパッチワークよりも無地の布の方が表現しやすいと思った」と同伝統工芸に惹かれた理由を話した。中山さんは文化服装学院を卒業後、日本でオートクチュール(受注生産の高級服店)のデザイナーを務め、1989年に渡仏。パリのデザイン事務所で経験を積んだ。現在は独立し、夫と一緒に室内装飾品のデザインをしている。デザイナーの仕事をする中で、「刺繍する技術を知っていればより完璧なものを作れる」と感じたそう。日本人の職人気質は南仏の伝統工芸にも発揮されているよう。
     ◎
 ワークショップを開催したジェナリ久美枝さんはブティ、パッチワーク教室を聖市で開いている。ブティ教室は鳥取県人会で水曜日の午後、パライゾのアトリエで木曜午後。パッチワーク教室はアナ・ローザのアトリエで火・水の午前に開催している。問い合わせ、申し込みはジェナリさん(11・99499・3718)まで。参加したい人は必ず事前連絡すること。

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