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ベネズエラ=「教員や生徒の自宅で授業」=日本人学校教師にメールで取材=生活への深刻な影響を語る

武力行使で沈静化された抗議運動(AFP PHOTO/Francisco Rodriguez)

武力行使で沈静化された抗議運動(AFP PHOTO/Francisco Rodriguez)

 【既報関連】政治経済情勢が急速に悪化しているベネズエラ―。本紙は5月に在留邦人に取材し、深刻な治安悪化や品不足等について報じた。その後、抗議活動で反体制派側の死者が100人を超えるなど、今なお混乱は続いている。今回は、首都カラカス在住日本人が匿名でメール取材に応じ、現地の実情について語った。

 取材に応じた女性は、ベネズエラ人と結婚したのをきっかけに同国に移住。2002年から現在までカラカス日本人学校で教師を務めている。
 同校は小学部と中学部を擁し、生徒数は7名。最近は企業の駐在員数が減ったのに加えて、赴任するのは主に単身者だという。
 デモが起こると政府企業であるカラカスメトロの運行が止まるため、教員や生徒の自宅で授業を行なうこともあった。
 「警備員や従業員がメトロを利用して通勤しているため、彼らが来られないと生徒の安全が確保できない」とし、教育現場への影響の大きさを伺わせた。制憲議会議員選挙が終わった8月以降はデモがやみ、授業を通常通り行なっているという。
 生活していて最も苦労するのは「品不足」。チャベス前政権時代(1999年2月~2013年3月)は黒豆、コーヒー、ミルク、日用品などが不足しても、しばらくすると高値ながら買うことができた。
 だが、最近はそれすらなくなり、「恒常的な品不足に陥っている」と厳しい現状を吐露。物を手に入れるにはスーパーや薬局の行列に並ぶか、高値で転売する人から購入する必要があるという。
 品不足の対応策は買いだめをすること。家には、砂糖、米、パスタ、マヨネーズ、ケチャップ、塩、サラダオイル、トイレットペーパーなどが保管されているという。「小麦粉やトウモロコシ粉は店頭に並ぶことすらなく、閉店したパン屋もある」と話す。
 夫が何度かデモに参加しており、「夫から『二人とも逮捕されたら子供たちはどうする』と言われ、私は家にいるようにしていた」という。「夫はデモ中に催涙弾の煙を浴び、『立っていられないほど苦しかった』とのことでした。すぐ近くには倒れた人や、吐いている人などもいたそうです」と生々しいデモの実態を語った。
 経済情勢の悪化と政情不安により、ベネズエラ人の国外移住も進む。「息子が通う現地の私立学校でも、同級生らがスペイン、パナマ、コロンビア、米国マイアミなどに行くことが多くなった」と身近な例を挙げた。
 ベネズエラとの国境を接する北伯のロライマ州では急激な人口流入が深刻化しており、もはや人事とはいえない状況だ。
 日本国外務省の発表によれば2016年10月1日時点で、在留邦人の総数は402人で、うち永住者は321人。
 8月にマドゥーロ大統領主導の制憲議会が国会から立法権剥奪を宣言し、独裁体制を強化。南米南部共同市場(メルコスル)や米国政府などからも批判を浴びている。

 

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 取材に応えてくれたカラカス在住の女性は、「政府側以外の報道機関には規制がかかっていて、批判的内容を放送できない。チャベス前政権時代からいくつかのテレビ局が閉局に追い込まれている」と言う。さらに、今年に入って閉局されたラジオ局はなんと60局。インターネットにも規制が掛かっていると噂されており、「何度か送ってもらったリンクが開けないことがあった」とも。言論の自由が保障されていない国があることにぞっとすると同時に、今後ともそこに住む人の声を届けていきたいと思う。

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