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ボウソナロ=仰天政策が次々に続出=人気極右大統領候補がアメリカ・キャンペーンで残した疑問

ボウソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

ボウソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 18年の大統領選の世論調査で支持率2位につけているジャイール・ボウソナロ下院議員が、大統領選を1年後に控え、アメリカでキャンペーンを行ったが、そこで次々と仰天発言を行い、疑問点や矛盾点も垣間見せている。
 ボウソナロ氏は、左翼政権の労働者党(PT)の汚職スキャンダル、ならびに罷免された同党のジウマ大統領罷免後に大統領についた老舗の中道政党、民主運動党(PMDB)や、PTの長年の政敵・民主社会党(PSDB)の主要3党に次々と汚職の火の子が降りかかり、国民の政治不信が高まっているのを受け、国民からの支持率を伸ばしている。
 現在の大統領選の支持率は、収賄裁判の只中にあるPTのルーラ元大統領の8年ぶりの大統領復帰が支持されているが、アンチ・ルーラ派の支持を受ける形で、ボウソナロ氏の支持率が上がっている。
 ボウソナロ氏は常々、同性愛者・女性・黒人・ユダヤ人などへの差別発言で物議を醸し、それがPTの推し進めてきた、社会格差をなくすリベラルな政策に不満だった層や福音保守派などの支持を集めている。
 また、元軍人という立場から、1985年の民政復帰以後、ブラジル国内ではタブーとされている軍事政権礼賛も、公の場で堂々と行い、問題化している。
 さらに、下院議員生活26年で成立させた法案はわずか二つ(いずれも警備保障系)で、16年7月に下院議長選に出馬した際の得票数はわずか4票。新党を築いてそこから出馬しようとの計画も、移籍予定の党の下院議員の数はわずか3人で、政界の中では決して大きな存在と言えない。
 だが、皮肉にも、マスコミが政界汚職を煽れば煽るほど、そのサイトにボウソナロ氏を支持する極右の思想家が書き込みを行うといった現象がいつしか生まれてしまい、前述のような世論調査の結果を生んでしまっている。ボウソナロ氏は大型汚職事件で名前をあげられていないため、それが支持者のよりどころになっている節もある。
 そんなボウソナロ氏は、自身の敬愛するトランプ大統領のおひざ元のアメリカに飛び、10月から東海岸を中心に講演会を行っている。
 アメリカには、PT政権を嫌って移住しているブラジル人も少なくないため、ボストンやニューヨークでは多くの人を集めたという。
 だが、ここでボウソナロ氏は次々と仰天ものの政策構想を語った。
 まず、経済に関しては、「自分は専門家じゃない」としながら、「経済基本金利を2%に下げたい」と語った。
 ブラジルの場合、伝統的にインフレがおきやすく、ジウマ政権で景気活性化を目指して7%台に下げたら、それが恒常的な高インフレを招き、好調だったブラジル経済を切り崩す要因にもなってしまった。
 また、フェリアス(労働者に与えられた1カ月の休暇)や育児休暇を廃止するという構想も打ち出した。フェリアスはブラジル国民に根ざした制度であり、育児休暇に関しては「4カ月では短いので延長しては」という議論が起こり、6カ月まで認められるようになったばかりだ。
 さらに、一方で「政界腐敗のために軍事介入もありうる」と発言して批判された退役間近の軍の元将軍の発言を礼賛したかと思えば、明らかに議会内で反発必至の発言を行っているにもかかわらず、「ブラジルはひとつになるべきだ」と、議会政治の重要性を語るなどの一面も見せている。
 ボウソナロ氏は、ボストン、ニューヨークのあと、ワシントンDCのジョージ・ワシントン大学で行われる予定だった公開討論会参加を土壇場でキャンセルした。
 同大学のマーク・ランジェヴィン教授はボウソナロ氏に関し、「自分の味方をしてくれる仲間にはいいが、そうでない人たちを交えて民主主義についての討論を行う準備はまだできていないようだ」との見解を示している。
 イギリスの経済誌「エコノミスト」誌は、ボウソナロ氏を来年の大統領選の有力候補と見る記事を先日発表しているが、こうした同氏の状況まで把握しているどうかは不明だ。(13日付フォーリャ紙サイトより)

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