ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》企業版の報奨付供述、レニエンシア=汚職捜査の足かせに?=減刑交渉成立は1社だけ=関連新法で企業の利点縮小か

《ブラジル》企業版の報奨付供述、レニエンシア=汚職捜査の足かせに?=減刑交渉成立は1社だけ=関連新法で企業の利点縮小か

汚職担当相も兼任するトルクアト・ジャルジン法相(Adalberto Carvalho/Ascom-CGU)

汚職担当相も兼任するトルクアト・ジャルジン法相(Adalberto Carvalho/Ascom-CGU)

 【既報関連】ラヴァ・ジャット(LJ)作戦の一環で、石油公社ペトロブラス社の石油精製所建設契約に絡み、建設大手エンジェヴィックス社が汚職を行ったとされる疑惑の解明調査を、汚職対策省が2年間停止していたと、3日付現地紙が報じた。
 同省は捜査停止の理由を、エンジェヴィックス社が、企業版の報奨付供述と言えるレニエンシアの提案を行ったためと説明している。
 現地紙の記事は、レニエンシアが企業犯罪捜査の足かせとなっている現状を明らかにするもの。連邦会計検査院(TCU)の文書によると、エンジェヴィックス社は、捜査が止まっている間、違法行為の自供はおろか、捜査協力も行わず、当局との交渉は不発に終わったという。
 LJ作戦では、捜査対象の11社がレニエンシアによる減刑交渉を行っていたが、ペトロブラス子会社の燃料配給基地建設に関連する契約受注時に不正を行った疑惑が持たれているUTCエンジェニャリア社だけが、政府との合意に至っている。
 汚職対策省は、レニエンシア交渉を行っている11社の名を公開していないが、その中には、LJ作戦捜査対象のエンジェヴィックス社、ガルボン・エンジニャリア社、SBM社(オランダ)などが含まれていると報じられている。
 TCUは、捜査の一時停止は疑惑の企業を不当に利するとしている。
 エンジェヴィックス社への捜査は15年4月6日に停止され、今年の4月10日に再開された。これは、汚職対策省と総弁護庁がレニエンシア締結に向けた交渉を打ち切ったためだが、エンジェヴィックス社は捜査停止中の15年と16年も、過去に結んだ事業契約により、政府から少なくとも6100万レアルを受け取っている。今年の3月にはTCUにより新規入札参加が禁止されたが、同社にはまだ、それ以上の罰則は加えられていない。
 先週、中銀や有価証券取引委員会(CVM)、CGU(国庫庁、現在は汚職対策省内部機関)、経済防衛行政審議会(Cade)の四つの政府機関にも、違反企業と独自にレニエンシア交渉を行うことを認める新法が成立した。
 新法では、レニエンシアで情報提供をした企業に対し、刑法上の罰が免除されることが保障されないため、現地紙は企業側への利点が損なわれる可能性も指摘している。「新法は捜査手続きを加速化出来る可能性があるが、企業側はレニエンシアを行い、減刑を受けられない危険を冒すよりも黙って時間稼ぎをする方を選ぶのでは」とヴァウジール・シモン元CGU長官は語っている。

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