ホーム | ブラジル国内ニュース | 《サンパウロ市》ドリア市長が特別通信局事務局長を解任=マスコミの情報公開請求を妨害する発言で=不正行政や背任の可能性も

《サンパウロ市》ドリア市長が特別通信局事務局長を解任=マスコミの情報公開請求を妨害する発言で=不正行政や背任の可能性も

ジョアン・ドリアサンパウロ市長(@jdoriajr)

ジョアン・ドリアサンパウロ市長(@jdoriajr)

 ジョアン・ドリアサンパウロ市長(民主社会党・PSDB)は8日、ルーカス・タヴァレス特別通信局事務局長を解任したと9日付現地紙各紙が報じた。
 同元事務局長は、今年8月16日に行われた情報公開委員会で、情報公開法(LAI)に基づいて公開請求されたデータ開示について、「法の定める範囲で情報開示を妨げる。開示が遅れれば、記者たちも諦めるだろう」と語った。委員会の議事は全て録音されており、1時間10分に及ぶ会議での発言は地元紙が8日に報じた。
 ドリア市長はこれを受け、「ファビオ・サントス広報局長に同種の問題が起きないよう命じた」とし、公開請求が出されたデータの開示を妨げるような指示は出していないと語った。
 元事務局長は会議中、情報公開請求を出した人物と所属機関の実名を挙げ、「奴らの仕事をしにくくしてやる」「グローボ局(最大手TV局)のロベルタ・ジアコモーニは地球に存在する最も酷いプロデューサーの一人」などと発言。これらも、行政における秘密保護の原則に抵触する。グローボ局は番組の中で公道に穴が開いている様子なども放送している。元事務局長は「市だって予算に問題を抱えているんだ」とも語っていた。
 ドリア市長は、タヴァレス元事務局長の言葉は個人的な発言とし、「発言も行動も不適切だった」と述べた。情報開示請求に伴う手続きは、中立性を保つため、請求者が誰かは一切考慮に入れずに行われなければならず、タヴァレス氏の行為は不正行政や背任に問われる可能性もある。
 サンパウロ州検察局も8日に捜査を開始し、今年開かれた情報公開委員会の議事録と音声録音を全て提出するよう、サンパウロ市に通告した。
 ジョゼ・カルロス・ブラッチ検事は、「これは深刻な事件。公の情報に自由に触れる権利は法律で保障されており、全ての市民に認められている」と語った。
 LAIは2012年に施行され、理由にかかわらず、全国民に公共機関の情報を自由に閲覧できる権利を保障している。公的機関は情報が存在する限り、全ての公開請求に応える義務がある。サンパウロ市の場合はサイトhttp://esic.prefeitura.sp.gov.brから請求できる。
 この騒動では、多くの報道関係機関が声明を出した。ブラジル調査報道協会は、「情報公開という根本的な権利の侵害」と非難し、ラジオ・テレビ放送局協会は、「公務員が報道の職務を妨害した事は重大」とした。また、ブラジル全国新聞協会は「公に奉仕するはずの公務員が、業務の透明性を隠し、言い逃れをしたことの罪は重い」と表明した。

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