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祥こう流吟剣詩舞=ブラジルに武士道精神浸透=若手伯人も堂々吟じ舞う

川中島の戦いで緊迫感漂う一騎打を熱演

川中島の戦いで緊迫感漂う一騎打を熱演

 ブラジル祥こう流吟剣詩舞道本部(森下祥星理事長)主催の『第32回祥こう流吟剣詩舞道大会』が12日、大阪なにわ会館で開催された。
 午前10時、日伯両国歌斉唱に続き、祥こう流流詩合吟により開会。森下理事長は「これまで続けてこられたのは、皆様の温かい励ましや愛情溢れる支えがあってこそ」と謝意を滲ませ、「宗家の教えを守り練習を重ねてきた。若者の頑張りを温かく見守って欲しい」と挨拶した。
 来賓には下本八郎元聖州議と小林操元茨城県人会会長が招待され、小林元会長も「願はくば、最後の一人二人となってもいつまでも続け、日本文化を普及させて欲しい」と期待を寄せた。
 大会では、平安時代から現代に至るまでの日本史の名場面、計45演目を披露。なかでも、特に際だったのが、若手伯人の活躍ぶりだった。

吟詠した伯人女性カリーナさんの初舞台と

吟詠した伯人女性カリーナさんの初舞台と

 詩吟では、伯人女性初というカリーナ・アンデロッテさんが「おぼろ月夜」など二曲を吟詠。同大会で詩吟を初めて聴き、その旋律に心を揺さぶられ最近始めたばかり。初舞台を迎え、今後が期待される一人だ。
 「合戦川中島」では、グスターヴォ・ロドリゲスさん(26)とフェルナンド・ゴヴェイアさんが、川中島の戦いでの武田信玄と上杉謙信の一騎打ちを熱演。剣舞暦10年で剣道も嗜むグスターヴォさんの動き一つ一つに熱がこもる。
 10年以上に及ぶ合戦で、間一振りの剣を研磨しこの機会を待ってきた謙信。夜のうちに靴音を立てぬよう千曲川を渡った上杉軍を、明け方の霧の晴れ間に見つけた武田軍。じりじりと踏み寄り、睨み合いが続く。一命を賭した一騎打からは緊張感がひしひしと伝わり、鬼気迫る演技で会場を釘付けにした。
 見せ場の途中、ブレーカーが落ちて停電となる場面もあったが、すぐに電気は復旧し再開。昼食を挟み、午後3時過ぎに大会は無事に終了した。
 ブラジル吟剣詩舞連合会の山畑実嵩顧問は「吟詠は非常にとっつきにくいものだが、何とか伯国文化の一部に組み込もうと努力してきた」と語り、「詩吟に伯人女性も入り、これで若い伯人衆だけで詩吟詩舞を併せてできるというところまできた」と隔世の感を示し、期待を滲ませた。
 森下理事長も「詩吟に込められた日本人の心を知って欲しいと願い、活動を続けてきた」と振り返り、「昔はNHKでも新年は詩吟が放映されていたが、近頃は殆んど見なくなった。だんだんと廃れていくのは悲しいことね」と時流の変化を感じている。
 一方で「『殿様に忠義を尽くし、命を賭ける』ということは、説明しても初めは理解されなかった。でも、そんな武士道の精神が伯人も骨身に染みて理解してきているようだ」と喜びを語り、「要望があれば、何処へでも喜んで公演を行いたい」と気概を示した。


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 若手伯人の活躍が目立った吟剣詩舞道大会。大学で経営を学ぶというグスターヴォさんは、「元々剣道をやっていて、戦国時代の武士に憧れていた」という。剣舞に参加している伯人は殆どが剣道経験者で、普段鍛えられた動作が剣舞にも活かされ、迫力ある演技に繋がっているよう。一方で、渡伯2年目という久保甘露さん(17)は、「日本にいたときから、伝統舞踊に興味があった。でも、日本に居るよりも、此方の方がむしろ習いやすかった」と語る。「もともと日本史が好きだったが、習い始めてから俄然興味が湧いてきた」とか。日本ですらなかなか経験できない吟剣詩舞。日系非日系を問わず、多くの若者に「日本の心」に触れて欲しいところ。

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