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 日本ブラジル中央協会(大前孝雄会長、在東京都)の機関紙『ブラジル特報』1641号が11月に刊行された。《追悼:松井太郎さん/ブラジル日系文学屈指のストーリーテラー作家の死》(岸和田仁編集人)の追悼文が俊逸だ。《「ジュアゼイロの聖者」は、マノエル・デ・アルメイダ・フィリョの原作コルデル冊子本の翻訳であるが、口承韻文できれいに韻を踏んでいる原文のスタイルを、浪花節風の日本語に移し変えることに見事成功している。さらには、「きゅうよ(アルマジロのこと)物語」は擬人化したアルマジロの独白でノルデスチ住民の宗教性と自然(旱魃)を描き、井伏鱒二の「山椒魚」よりも豊かな文学世界を展開している》と分析し、《「日本語表記によるブラジル文学」と称するのが妥当》と結論する。松井さんは草葉の陰で、さぞや喜んでいることだろう。最新号は会員のみ、バックナンバーPDFはサイト(nipo-brasil.org/tokuho/)で閲覧可。

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