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《ブラジル》デング熱=未感染者は予防接種避けよ=国家衛生監督庁が異例の勧告

 国家衛生監督庁(ANVISA)が11月29日、デング熱にかかった事がない人はデング熱の予防接種を受けないよう勧める、異例の勧告を出したと11月29、30日付現地紙、サイトが報じた。
 同勧告は、15年12月28日に同庁が認証した予防接種ワクチンDengvaxiaの製造会社、サノフィ・パスツールと同庁が、同ワクチンの有効性確認用の臨床試験後に行った観察結果に基づいている。
 同庁によると、臨床試験後5年間の観察データによると、デング熱にかかった事がない人が、このワクチンを接種後にデング熱ウイルスに感染した蚊に刺されると、1千人に5人は通常より強い症状が出て入院する必要が生じ、1千人に2人は重症化したという。
 このデータは、まだ検証中だが、入院を要した患者が1千人に5人という数字は、予防接種を受けていない人がデング熱に初めて感染した場合の1・5倍に相当する。専門家は、予防接種が初回感染と同じ状態を生み出してしまい、本来の初回感染が2重感染の時のような反応を生んだ結果ではないかと見ている。
 デング熱に感染した事がある人が予防接種を受けた場合は、ウイルスに感染した蚊に刺されても発症せずに済み、有効性が認められている。
 デング熱の症状は、突然の高熱や頭痛、関節や筋肉の痛み、吐き気や嘔吐、赤い発疹などだ。重症化すると、歯茎などからの出血や紫色のしみ、肺に水がたまる、しつこい嘔吐などが起こる。重篤化した出血性デング熱だと出血が更にひどくなり、呼吸困難、血圧の変化、臓器不全などが起きて死亡する事もある。
 Dengvaxiaは4種のデング熱ウイルスに対応するワクチンとして製造され、現時点で認証されている唯一の予防接種ワクチンだが、認証時には今回のようなデータは提出されていなかったという。同ワクチンは半年毎に3回の接種を要す上、有効率は66%と低く、接種対象も9~45歳に限定されているため、SUS(統一保健システム)では扱っていない。希望者は私立の診療所などで最高135レアルの料金を払って接種する必要がある。パラナ州では昨年8月のデング熱撲滅キャンペーンで、州の医療機関に配布した。

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