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コロニア10大ニュース=華やかにJH開館、芸能人来伯=110周年開始が秒読み!

 新年はいよいよブラジル日本移民110周年だ。「来年」といっても、実際は来週月曜日に開始だ。2017年はブラジル社会においては政治的にも経済的にも難問山積、政変続きの年だったが、コロニアにとってはむしろ、JHが開館して入場者が50万人越え、有名な芸能人が次々に来伯、JRパスの期限が延期されるなど比較的に喜べるニュースが多かったといえそうだ。

第1位=JH入場者延数50万人突破=要人の出席で華々しく開館

日伯政府関係者がハイレベルで一堂に会した開館式

日伯政府関係者がハイレベルで一堂に会した開館式

 開館式には、テメル大統領や麻生太郎副総理を迎え、今年5月、脚光を浴びるなか華々しくオープンしたジャパン・ハウス。開館から1カ月間の休日には、長蛇の列を成すほどの盛況ぶりで、その勢いは衰えることなく、約半年間で入場者延数は50万人の大台を突破した。
 開幕記念行事には、日本の有名音楽家である坂本龍一と三宅純による野外コンサートをイビラプエラ公園で開催し、約1万5千人が熱狂。
 同館内では、竹の特別企画展に始まり、和紙や日本食、建築、空間藝術など多岐に及ぶ領域において、世界最先端で活躍する日本人を招聘。展示やそれに纏わる講演やワークショップを催し、伝統に捉われない、現代的な日本の姿を紹介してきた。
 ジャパン・ハウスは、15年度から3年間で約37億円の予算が計上され、19年度以降は複数の指標を総合評価し、事業継続が判断される見通し。今後も、来場者の関心を惹く展示を見せ続け、将来的な独立採算に向けて収益柱を強化できるかが今後の課題と言えそうだ。


第2位=日系四世の在留制度解禁?=下地衆議が前向きに来伯講演

下地幹郎衆議

下地幹郎衆議

 2016年10月に行われた『第57回海外日系人大会』で、日系四世以降向けの特別定住ビザ解禁が提言で挙げられた。翌年2月の衆議院議員予算委員会では下地幹郎衆議(沖縄、日本維新の会)が日系四世向けの在留制度導入に言及し、安倍晋三首相は前向きな姿勢を見せた。
 7月21日に下地衆議がわざわざ渡伯し、サンパウロ市の文協で説明会を行った。日系四世向けの3年間のワーキングホリデー制度が11月に開始見込みで、比較的に三世までの特別定住ビザに近い待遇を視野においているコメントが紹介された。
 ただしその後、法務省側からの意向を反映した日本側の報道があり、特定ビザよりも厳しい滞在制限が課せられそうな雲行きになっている。
 11月28日の衆議院議員予算委員会では、下地衆議が安倍首相に再度同法案について言及を求め、首相は制度実施を年度内とし、「さらに法務省に督励したいと思う」と回答した。


第3位=いよいよ移民110周年!=なるか7月の皇族ご訪問

 来年に控える日本移民110周年も、記念行事の概略が徐々に明らかとなり、資金集めの見通しも立ってきたようだ。
 1月7日に新年祝賀会で華々しく開幕する110周年記念行事は、県連日本祭内で7月21日に催される「移民110周年記念式典」でピークに達する。5千人収容可能な主要舞台では、種々の演目が特別企画され、およそ30万人の来場者数を見込む。
 記念事業としては、文協の赤字事業である国士舘大学スポーツセンター再開発計画が予定され、文協文化ホール完成、移民史料館近代化、日本館増築の構想もある。
 また、7月19日にはパラナ州マリンガで開催される移民エキシポ内で記念式典、22日にはプロミッソンで上塚植民地入植百周年式典が大々的に開催されるなど、皇室ご訪問が見込まれる7月中旬に様々な行事が目白押しとなりそうだ。


第4位=JRパス販売が期間延長=世界の邦人の声が届く

 2016年11月11日、JRグループから「海外在住の日本国籍所有者への『ジャパン・レール・パス(以下JRパス)』の販売は2017年3月31日まで」と利用資格変更の発表があった。
 JR側の説明では「販売対象は観光目的の訪日外国人観光客」とし、変更の理由を「訪日外国人旅行客の急増による環境の変化」「各国の永住権等の資格の定型的書類、資格取得の条件が異なり、永住権制度の無い国に居住する日本人への不平等」とした。
 当地からは日系代表3団体が嘆願書を郵送、またインターネットでも「JRパスを考える在外邦人の会」が署名活動を行うなどした。
 抗議の結果、販売停止直前となった3月31日、JRグループから「10年以上外国に住む在留邦人は、同年6月から2020年12月31日まで購入可能」という期限延長の発表が出された。


第5位=アリアンサが新施設開所=ピニェイロス文化センター

 日伯文化連盟(アリアンサ、大城幸雄理事長)が7月29日、サンパウロ市ピニェイロス区に新校舎『ピニェイロス文化センター』を開所した。
 同センターは2014年7月に着手され、総領事館から草の根無償資金協力を通じ約6万7千ドルの資金援助を得たほか、インターネットを活用し不特定多数から資金を調達する「クラウドファンディング」など利用した。
 もともと「大正小学校分校」だった伝統ある場所。非日系ブラジル人にも幅広く参加してもらう場所として構想され、日本語授業だけでなく、音楽や食などの多岐にわたる日本文化普及の拠点となっている。
 開所後は狂言師の小笠原匡親子や小泉政権時に総務大臣、郵政民営化担当大臣を歴任した竹中平蔵を招聘して講演会を開催、小池信シェフを招いて日本料理の授業を行うなど、精力的に日本文化を普及している。


第6位=小禄田原字人会百周年を盛大に=8月に沖縄県人移住110周年

カチャーシーで沸いた小禄田原字人会百周年式典

カチャーシーで沸いた小禄田原字人会百周年式典

 日系社会のなかでも、異彩を放っているのが沖縄県系人の活躍ぶりだ。今年1月には、サンパウロ日伯援護協会会長に与儀昭雄氏が就任し、主要日系5団体のうち3団体のトップが沖縄県系人で占められるほど。
 なかでも、今年最も印象的だったが、小禄田原字人会の百周年記念式典だ。戦中に激戦地となった同字からは、戦前戦後に人口の3割が海外に移住した。
 門中による血縁関係により強い結束力を誇り、8月27日の式典には国内外から1200人を超える同字人が出席。総勢300人の出演者による一世紀の移民史を描いた歌舞劇は圧巻だった。
 新年は8月3日から伯、亜、ボリビアの三カ国で続けざまに沖縄移住110周年を祝う。母県やハワイから大慶祝団の来訪が予測され、4日のビラ・カロン沖縄祭りをその前夜祭と位置付け、盛大に記念パレードが開催される予定だ。


7位=橋幸夫、水森かおり、小桜舞子=有名歌手がぞくぞく来伯

 有名歌手が続々と来伯し、日系社会を賑わせた2017年。3月にはNHK紅白歌合戦出場19回のベテラン、橋幸夫が3回目の来伯公演を行った。数々の名曲を披露して観客の心をつかみ、最後は「いつでも夢を」の大合唱で締めくくった。
 8月には水森かおりと同じ事務所の元AKB・岩佐美咲、3人組「はやぶさ」が出演。「ご当地ソングの女王」の異名を持つ水森かおりは「鳥取砂丘」「釧路湿原」などを歌い上げ、会場を沸かせた。
 小桜舞子は11月に2年連続の来伯公演を実現した。演歌、歌謡曲、民謡など幅広い楽曲で終始観客を魅了した。
 来年は5月に美川憲一がサンパウロ市の文協で公演を行なうことが決まっている。他にも移民110周年で有名歌手の来伯が期待されており、来年も盛り上がること必至!?


第8位=初の日系大司教が誕生=PANIB、カリタス50周年

 2016年12月28日、沖縄系三世の赤嶺エンジさん(洗礼名ジュリオ)がカトリック教会(ローマ法王フランシスコ)からサンパウロ州ソロカバ市の大司教に任命され、17年2月25日にソロカバ大聖堂で就任式が行われた。
 ブラジル内にわずか約40人しかいない大司教。その重要な役職に日系人が任命されたのは、今回が初めて。日系社会からは「10年後には世界に約120人しかいない枢機卿になるのでは」といった期待の声が聞かれた。
 6月15日には日伯司牧協会(PANIB)とイエスのカリタス修道女会がそれぞれ設立、派遣50周年を盛大に祝った。サンパウロ市のセー大聖堂で執り行われた『50周年記念ミサ』では、赤嶺大司教が司式して説教を行った。


第9位=サンパウロ市ラーメン戦争、激化の一途=豚骨専門店出現で新展開!?

 昨年に続き激化の一途をたどった「サンパウロ市ラーメン戦争」。開店ラッシュの他に、インスタント生ラーメンの登場など年間を通して話題が尽きなかった。
 パライーゾ区では昨年オープンの「上々ラーメン」のすぐ近くに「ラーメン和」2号店がオープン。MNプロポリス社が自宅で楽しめるラーメンセットの販売を開始し、福島県の五十嵐製麺がインスタント生ラーメンを輸出するなど、新風も巻き起こっている。
 ただ、一番注目すべきはこれまでなかった豚骨ラーメン専門店の出現だろう。日本で修行を積んだ森田泰人マルシオさんが東洋街で試験販売し、話題に。来年ジャルジン・パウリスタ区に実店舗を開く。さらに1月初旬には本場福岡を拠点とする「博多一幸舎」が東洋街に開店予定で、豚骨ブーム到来の予感!?


第10位=アンシェッタ島で移民顕彰=70年越しの名誉回復果たす

 サンパウロ州北東海岸部ウバツーバ市に位置するアンシェッタ島の監獄に、1946年から日本移民172人が約3年間収監された。その歴史を回顧して顕彰するためにウバツーバ市は、9月23日を「日本移民の日」に制定した。
 その日、同島では日本移民顕彰式が公式に行われ、70年越しとなる名誉回復に遺族らは歓喜の涙を流して咽んだ。
 受刑者には、勝負抗争で殺害事件に関与した10人も含まれたが、それ以外は臣道連盟幹部や踏絵を拒否しただけの無実の人々。日本移民は模範囚として過ごし、野菜栽培や発電機の修理等で腕を振るうなど、看守の信頼を得るまでになった。
 佐藤デウシオ同市長は、移民百周年を機に結成された日伯協会とともに、新年の日本移民110周年の折には、日本文化に関連する劇やショーなどを一週間披露する「移民週間」を同地で開催する予定だ。


第11位=五十嵐農牧をデモ隊が襲撃=被害総額1千万レ以上に

 日系農家でも3本の指に入る「五十嵐農業牧畜株式会社」がバイーア州で経営する大規模農場に、11月2日、土地なし農民運動の関与が疑われる500人規模のデモ隊が侵入した。灌漑設備をはじめとする機械類に対する破壊活動を繰り広げ、壊滅的打撃を与えた。
 その被害総額は1千万レアルに上り、日系農業関係者を震撼させた。灌漑施設の新規導入によって水源である川の水位が低下したことが、近隣の零細農家らの反発を招いたと見られる。
 同社によれば、事業は法令に則ったものであり、今後の真相究明と司法における公正な裁きが切望される。

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