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平成30年、新年に皇室の弥栄祈る=旧年は眞子様ご婚約内定=両陛下初来伯から50年=19年5月から新元号に

皇室御一家(御所にて)【写真提供:宮内庁】

皇室御一家(御所にて)【写真提供:宮内庁】

 7月には九州北部を襲った集中豪雨など、昨年に続いて各地で自然災害に見舞われた2017年――。その裏では、発生直後から被災状況を気にかけ、ひたすらに国民の安寧のために祈りを捧げてこられた、天皇皇后両陛下をはじめとする皇族のお姿があった。

 旧年の皇室のご動静として記憶に新しいのは、天皇陛下のご退位が19年4月30日、皇太子殿下のご即位が翌5月1日と正式に決定したことだろう。これにより光格天皇以降、約200年振りとなる退位が実現し、昭和を引き継いだ平成もいよいよ幕引きを迎える。
 16年8月に「象徴としてのお勤めについて」の陛下のお言葉のなかで、退位の意向が滲むお気持ちを国民に表明。それを受け、政府は同年10月に「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を設置。14回に及ぶ慎重な議論が重ねられた上、旧年4月に最終報告が提出された。
 同6月には、「天皇陛下の退位に向けた特例法」が参議院本会議で採決され、退席した自由党を除く全会一致で可決。同12月8日の閣議で、特例法の施行日を19年4月30日とする法令が決定された。
 制度設計にあたっては、退位した天皇と新天皇の間で、象徴や権威の二重性が生じないよう配慮された。退位後の称号は、天皇陛下を「上皇」、皇后陛下を「上皇后」とし、上皇や上皇后を補佐する「上皇職」が宮内庁に新設され、現在の東宮御所に転居される予定だ。
 また、皇太子殿下の即位を受けて、弟の秋篠宮殿下は皇位継承順位1位を意味する「皇嗣」、長男・悠仁様が2位となる。皇嗣を補佐する「皇嗣職」も新設され、皇族費を皇太子と同等の待遇と増額される。
 一方で旧年は皇室にとって、久しぶりの慶事もあった。眞子様のご婚約内定だ。旧年5月、NHKのトップニュースとして婚約見通しの一報が全国を駆け巡った。内親王としては黒田清子さん以来12年振りとなる慶事とあって、日本国民は祝福に沸いた。
 お相手は、都内の弁護士事務所で務める小室圭さん。眞子様がご在籍された国際基督教大学の学友だ。自由恋愛で結ばれたお二人は、ご婚約内定まで約5年の歳月をかけ、結婚に向けて話を進めてこられた。
 成年皇族として立派に公務を務められ、一昨年9月には日本人移住80周年を迎えるパラグアイ共和国、昨年6月にはブータン花の博覧会の開会式にご臨席のためブータン王国をおひとりで公式訪問された眞子様。ご婚約内定は昨夏と予測されていたが、7月の九州北部での豪雨に心を痛められたお二人のご意思で延期され、9月3日に、めでたくご婚約内定の運びとなった。
 ご婚約内定の記者会見では、お互いにどんなところに惹かれたのかという質問に対し、眞子様は「最初にひかれたのは太陽のように明るい笑顔であったと思います」とされた一方で、小室さんは「月のように静かに見守ってくださる存在でございます」と答えるなど、仲睦まじさが垣間見えるご会見となった。
 今後のご予定としては、新年3月4日に納采の儀を経て、10月から告期の儀、賢所皇霊殿神殿に謁するの議、朝見の儀と続き、11月4日に入第の儀、ご結婚式を迎えられる。

宮殿波の間にて【写真提供:宮内庁】

宮殿波の間にて【写真提供:宮内庁】

 また、長期療養生活に入っていた皇太子妃雅子様の体調に回復の兆しが見え、ご活躍の幅が広がっていることも嬉しい限りだ。昨夏以降は、公務へのご出席が増加し、7月に秋田県、9月に奈良県、10月に京都府と高知県、11月に宮城県と香川県を訪問するなど、宿泊を伴う地方訪問も重ねてこられた。
 先月9日に54歳の御誕生日を迎えられた雅子様は「これから先のことを考えますと、身の引きしまる思いが致しますが、両陛下のお導きをいただきながら、皇太子殿下をお支えしつつ務めを果たしていくことができますよう、努力を重ねて参りたいと思っております」と決意を示された。
 新年に日本移民110周年を迎え、皇室御訪問が切望されるブラジル日系社会。昨年は、天皇皇后両陛下のブラジル初訪問から50年という記念すべき年でもあった。
 東京都港区にある駐日ブラジル大使館では、特別企画展「天皇皇后両陛下ブラジル初訪問から50周年 永遠の絆を築いて」が、昨年9月から11月にかけて開催され、11月4日に両陛下が訪問された。
 展示会場には、訪問時の写真や新聞記事、映像が展示され、両陛下は手をつなぎ、駐日ブラジル大使夫妻と会話しながらじっくりと鑑賞された。駐日大使によれば、両陛下は「50年前の最も美しい印象は、移住した日系人が社会に溶け込んでいる姿を見たこと」と鑑賞後にお話されたという。
 両陛下は皇太子時代の67年に初来伯され、78年の移民70周年式典にご臨席。天皇に即位されてからは、移民90周年の前年の97年と、3度に渡り、ブラジルを訪問されてきた。
 67年には日伯租税条約が調印され、東芝やNECなど日本企業がブラジルへの投資を開始。70年代には、日伯協力によりセラード農業開発が進められた。その後、97年に訪伯された後、天皇皇后両陛下は以下の御歌を詠まれた。
▼天皇陛下御製〈赤土のセラードの大地続く中首都ブラジリア機窓に見え来〉
▼皇后陛下御製〈移民きみら辿りきたりし遠き道にイペーの花はいくたび咲し〉
 どちらも、日系社会への深い思いが、行間から滲み出てきそうな御製だ。それ以降も、ブラジル日系社会の節目にあたっては、皇室は当地をご訪問され、異国の地で奮闘する日系人を勇気づけてこられた。日系社会にとって、その温かい思いは有り難い限りだ。
 19年に在位30年を迎える天皇皇后両陛下の健康を祈り、成年皇族が減るなか、多忙な公務に励まれる一方、遥か遠くに暮らす日系人だけでなく、日本で暮らす日系ブラジル人にも深く心を寄せて下さる皇室の弥栄を新年に祈りたい。(航)

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