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第3回日伯科学協力シンポ開催=HSCと筑波大学病院=世界初の技術や内視鏡手術紹介

講演中の秋山国際医療センター部長

講演中の秋山国際医療センター部長

 サンタクルス病院(HSC、石川レナト理事長)と筑波大学(永田恭介学長)は、『第3回日伯科学協力シンポジウム』を11日午前から同病院の講堂で行った。筑波大学側からの最新検査法などが次々に説明され、HSCに勤務する医師ら約60人は興味深そうに聞き入り、メモとっていた。

 筑波大学からは大学付属病院国際医療センターの秋山稔部長、消化器科の溝上雄士内視鏡センター長、奈良坂俊明副部長、眼科医の岡本史樹網膜セクターチーフ、星崇仁眼科医が講演した。
 秋山部長(神奈川県、63)は「筑波大学とJICAで経験した医療分野の国際技術協力」というテーマ。約30カ国に派遣され、地域の治療技術向上に貢献するなどした。なかでも、01~06年に滞在したボリビアでは地域保健ネットワーク強化プロジェクト(FORSAプロジェクト)にも携わり、地域住民の健康状態の改善に貢献した。12年に設置された国際医療センターの活動なども紹介した。
 岡本史樹さん(東京都、48)は昨年東京大学と開発した人工硝子体(眼球内部を埋めるゼリー状組織)について発表。眼球の透明組織である水晶体と角膜は人工開発されていたが、人工硝子体の開発は世界初。
 人工硝子体が利用される網膜疾患手術では硝子体を切除し、代わりにシリコンオイル、またはガスが入れられる。しかし、手術後は一週間程度入院してうつぶせの姿勢を保ち、数カ月後には材料交換のために再手術をする必要がある。
 岡本さんは「将来的に人工硝子体が使われれば、日帰り手術できて再手術しなくていい。患者も病院も負担が軽くなる」と利点を語った。
 星さん(同、36)は日本で行われている涙道の内視鏡手術について、涙道閉塞治療を例に説明した。従来の手術では針金のような機材を涙道内に通し、閉塞した部分を開く。カメラがないため指先の感覚に頼るしかなく治療の成功率は低かったそうだ。
 現在日本で生産されている0・9ミリ程度の細さの内視鏡を使用した手術が主流になり、成功率が70~90%に上がった。星さんは手術方法も説明、病院内の手術室に移動して実際の施術の様子を中継して見せた。
 溝上さん(大阪府、62)は5ミリ程の幅の経鼻内視鏡について紹介。日本では健康診断で用いられ、細く柔らかいため痛みなどの患者の負担も少ない。奈良坂さん(宮城県、48)は早期に発見された大腸がんの内視鏡治療方法を発表した。
 秋山部長は講演後の取材に対し、HSCとの協力分野の協議内容を大学内で検討すると語った。初訪問したHSCについて「新しい医療器材が揃っている。来る前は少し不安だったが、治療に適した環境が整っている」との印象を語った。


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 「涙道閉塞治療では内部が見えないなか、涙道に器材を通し開けていた」という説明が衝撃的だったが、内視鏡手術では中を見ながら器材を通すため安心だ。中継された手術の様子を簡単に説明すると、先端に透明のビニールのような物を付けた内視鏡で閉塞部分を開け、ビニールを残して内視鏡を抜く。その後ペンチの先端のような処置具が付いた内視鏡が鼻から入れられ、ビニールを抜き取る。日本の内視鏡を使えば「患者の負担が少ない手術」が可能だが、伯国では輸入が認められていない。胃カメラの苦しさを思えば早く認可がほしいところ。

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