イタペセリカ日本語学校=80周年記念誌「心豊かに」

来社した田畑さん

来社した田畑さん

 2015年に創立80周年を迎えたイタペセリカ・ダ・セーラ日本語学校(牧山純子校長)。このたび記念誌『心豊かに』が発刊された。同校の歴史や卒業生、在校生の言葉などが掲載されている。日ポ両語。
 サンパウロ州イタペセリカ・ダ・セーラ市に位置する同校は1935年の開校。1942年1月にブラジル政府が日本との国交を断絶し日本語が禁止された後も、こっそり授業を続け日本語教育を貫いた。ドイツ系の先生がいて彼女が学校に検査に現れた官憲に「ここで日本語を教えていません」と説明し納得させていた。
 記念誌は400部発行され、同校の卒業生ら関係者に配布される。80周年式典準備委員長の田畑稔さんは「やっと完成することが出来た。みんなに喜んでもらえると嬉しい」と話した。入手希望者は田畑さんまで(電話=11・4147・1459)連絡を。

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 イタペセリカ日本語学校記念誌『心豊かに』には2015年の80周年式典の様子も記載があり、先亡者慰霊法要で南米浄土真宗本願寺派の清水仁恵(じんけい)師の法話が紹介されている。「ありがとうの反対の言葉は何だと思いますか? 反対の言葉は『あたりまえ』です。ありがとうは有ることが難しいということ。皆が今ここで過ごしてきたことは当たり前ですか? 先代が日本学校を創立してくれたおかげであって、当たり前ではありません」。日本語を解説しながら先人への感謝を諭すという、その場にいた人々の心に、これ以上無いほど響く法話になったに違いない。