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マリアナの鉱滓ダム決壊で重金属汚染判明

 18日~23日にブラジリアで開催された世界水フォーラムでは、鉱滓ダム決壊や洪水といった災害も話題になった。残念だが、これらの災害はブラジルでも頻繁に起きている▼中でも、15年11月にミナス州マリアナ市で起きた鉱滓ダム決壊事故は、ブラジル最大の環境破壊を招いた。大量の鉱滓が民家や住民を飲み込み、19人が死亡、ベント・ロドリゲス地区は壊滅状況に陥った。なだれ込んだ汚泥で近くの川が逆流し、下流のドセ川や大西洋には広範囲で茶色い水域が出来るなど、ミナス州とエスピリトサント州では39市に直接的な影響が出た▼大西洋の水は通常の色に戻ったが、最近また、同ダム決壊の後遺症といえる報道に触れた。マリアナ市から約60キロのバーラ・ロンガ市で実施した住民11人の血液検査で、ニッケルや亜鉛の量に異常が見られたのだ。ニッケルや亜鉛は、水銀やカドミウム同様、人体に悪影響を与える重金属だ。同市住民はダム決壊後も市内に残り、重金属を含んだ埃を吸い、埋め立てた汚泥の上で生活していた。16~17年に行われた調査では、気管支疾患や皮膚病、精神障害を訴える人が大勢おり、血液検査でも重金属汚染が確認されたのだ▼無論、重金属汚染はダム決壊前から起きていた可能性がある。日本の水俣病やイタイイタイ病のように、この地域でも医師が説明できない奇病発生の可能性が明らかになったのだ。同市住民はダム決壊事故の被害者を支援する民間団体の支援で検査を受けたが、今後は企業責任をこれまで以上に問うべきだ。鉱山の汚泥流出は他州でも起きている。このような公害再発防止のため、市民はこれまで以上に厳しく、監視の目を光らせる必要がある。(み)

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