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サンパウロ州飲酒条例=発効から6年も効力薄く=取り締まり件数が減少の一途=「年齢確認できない」と警察

未成年者への酒の販売を禁ずる法律も効果を発揮していない(参考画像・Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

未成年者への酒の販売を禁ずる法律も効果を発揮していない(参考画像・Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

 サンパウロ州では、2011年末に18歳未満の者に酒の販売を行った店を処罰することを定めた飲酒条例が発効し、6年以上が経過した。しかし、2017年は未成年者への酒販売や飲酒を許容した飲食店や施設を取り締まるための出動回数が、12年より大きく減少したと3日付現地紙が報じた。
 これらの取り締まりはサンパウロ州衛生監督局(VSE)の管轄だ。17年の出動回数は1万800回で、2012年の1万7900回と比べて39・3%減少した。また、今日まで、同条例違反で閉店、閉鎖させられた施設は一軒もない。12年に監査を受けた施設数は25万6900軒だったが、17年は16万9400軒で、32%減少した。また、12年は849件あった罰金適用も、17年は150件と82%減少した。
 サンパウロ州政府は、市レベルでも監査が行えるように500人の職員をトレーニング中としているが、全ての市がその計画に含まれている訳ではない。人口1200万人の州都サンパウロ市では、今年から職員の訓練が始まる。現在サンパウロ市で監査をしている職員は45人だけだ。
 州は、条例が効果を発揮し、飲食店などが遵守するようになったので、違法摘発が減ったのも当然としている。
 しかしながら、サンパウロ市リベルダーデ地区タグアー街にある私立校は、生徒たちに違法に酒を販売している店があると、頻繁に訴えている。
 地元紙が3月16日に現場取材を行うと、20分もしない内に、飲酒している16、17歳の少年少女から話を聞くことが出来た。「売る相手全員の身分証をチェックすると思う? 彼らはお酒を売って儲けたい。それだけよ」と少女は答えた。
 軍警は「同日はVSE職員も同行して監査を行い、40件以上、取調べを行った」と書面で答えたが、警告を受けた人や店は皆無だった。3月23日も状況はまるで変わらず、警察は「個々人の年齢を確かめる術がない」とさじを投げた。
 サンパウロ州検察局の幼年、青少年関連犯罪対策部は監査方法に疑問を投げかけている。ルシアナ・ベルガモ検察官は、「VSEが何を行っているのかを調査したい。この問題には文化的側面もある。ブラジルは未成年の飲酒に寛容すぎる」と語っている。
 ブラジル麻薬・アルコール研究会(Abead)の精神科医アナ・マルケス氏は、「違反を取り締まるだけではなく、違反行為が起こるのを防ぐことも必要だ」と語っている。

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