《ブラジル》パラーの脱獄未遂の死者22人に=看守以外は全員が服役者?

 10日午後、パラー州州都のベレン市の周辺都市、サンタイザベルの総合刑務所で集団脱獄未遂事件が起き、看守1人を含む21人が死亡した件で、州刑務所システム監督局が12日、看守以外の死者20人は皆、服役者だったと報告した。
 同州保安・防災局は10日、死者20人は、服役者と外部から来た侵入者と発表していた。
 同局は当初、侵入者らは壁を爆破し、その穴から銃を手に侵入してきたとし、それと呼応するように刑務所内でも銃を手にした囚人が蜂起、看守らを人質にして、刑務所警備の警官らと銃撃戦を展開したとの見解を表明していた。
 死者の数は、入院していた服役者1人が11日夜、死亡したため、22人に増えていたが、法医学研究所が11、12日に死者の身元を確認したところ、10日に死亡した20人は全員、服役者であった事が判明した。
 集団脱獄が試みられたのはパラー州第3刑務所更生センター(CRPPⅢ)だが、外部からの侵入者と見られていた死者5人は、同じ総合刑務所内にあるサンタイザベル農業服役コロニー(CPASI)の服役者だったという。
 CPASIは昼間の外出が認められた服役者を収監する施設で、この施設の服役者が外部の犯罪者に加担して集団脱獄を手伝おうとした可能性の有無確認などは、今後の捜査に委ねられる。
 この事件後、13日には、同刑務所周辺で2人の容疑者も逮捕された。2人は共に、脱獄作戦に加わっていた事を認めており、市警が捜査を続けている。
 ベレン大都市圏では、脱獄未遂事件の前日も、軍警2人が別々に殺害された後、12人が次々に殺害されるという事件も起きており、治安の悪化は深刻だ。
 ラウル・ジュングマン治安相は同州政府に治安維持部隊(フォルサ・ナシオナル)の派遣を打診したが、同州のシモン・ジャテネ知事は12日、この提案を断った。
 13日には、人権局人権問題監査官のエリカ・ケイロス氏を中心とする連邦政府の視察団が派遣され、刑務所内を視察すると同時に、同州政府の関係者とも会合を持ち、今後の対応などについて話し合った。(13日付G1サイト、13日付フォーリャ紙、12日付アジェンシア・ブラジルなどより)