レシフェで「ブレーガの日」制定=北東部で人気の「ブラジル版演歌」

 ブラジル北東部のペルナンブッコ州レシフェ市では、バイオンやフォフォーなど、特有の音楽ジャンルが突出して人気があり、固有の音楽文化を形成していることで知られている。今回は、その中のひとつ「ブレーガ」を市の文化にするべく、休日を設けようとする動きがあり、それが実現化した。
 ブレーガは、主にリズム面からジャンル分けされがちなブラジル音楽の中では珍しく、メロディ面に特徴の強い音楽だ。出自はサンバとボレロにあるようだが、ブレーガと聞いて一般に思い出されるのが、マイナー調でセクシーさを大げさに演出したようなメロディ。主にエレキギターやサックスの音色で表現されるその旋律は、日本なら、さしずめ、60~70年代のスナックで流行ったタイプの演歌を思い出させる。
 また、その歌詞は、南米のテレビ・ドラマを思わせる、溢れんばかりの愛情(アモール)を表現したロマンティックなものがほとんどだ。
 今回、このブレーガにちなんだ祝日をレシフェの市議会が作ろうとしたのは、「ブレーガの王様」とも呼ばれた人気歌手のレジナウド・ロッシが2013年に亡くなったのにちなんだものだ。彼も、たくましい身体をシャツで肌けさせるイメージで、女性に絶大なファン層を持つ歌手として知られていた。
 「ブレーガの日」制定の動きは2017年2月頃からはじまり、同年12月には議会で正式に承認。このたび、ジェラウド・ジュリオ市長の裁可を経て正式に成立した。その日付は、レジナウドの誕生日にちなんで2月14日。ブラジル以外の国ならバレンタイン・デーだが、セクシーなイメージのブレーガにはピッタリな日付だ。
 法案の発起人であるバンデルソン・フロレンシオ市会議員は「ローカル文化の勝利だ」と正式な制定を喜んでいる。
 また、ブレーガの新進女性歌手で、一部では「ブレーガのマドンナ」の異名を持つミシェレ・メロも、「ブレーガに偏見を持っている人も多いけど、すごく貧しい人からお金持ちまで、誰の心にも触れることのできる音楽なの。私たちの根っこにある音楽の価値をもっと認めるべきだわ」と語っている。
 ブレーガは勢い、同じような曲調や歌詞のイメージに陥りがちで、都市部の生活者や若者からは茶化される側面も強く持っている。だが、最近は、従来のブレーガをエレクトロ・サウンドでダンス・ミュージック調にアレンジした「テクノブレーガ」なる新しいジャンルが生まれるなど、多様化もしている。(19日付G1サイトより)