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サンパウロ市南部=超進学校生徒2人が自殺=12日の短期間で連続発生=生徒や保護者に広がる動揺

ブラジルでも、傷つき易い十代の子供の自殺が増えている(参考画像・Hedeson Alves/GEPR)

ブラジルでも、傷つき易い十代の子供の自殺が増えている(参考画像・Hedeson Alves/GEPR)

 サンパウロ市南部の超進学校コレジオ・バンデイランテス中等課程所属の生徒2人が、今月10日と22日に立て続けに自殺したと、24日付現地紙が報じた。
 コレジオ・バンデイランテスは、初等教育6~9年生と、大学進学前、中等教育の生徒が通う学校で、日本式教育システムで言えば、「中高一貫教育校」にあたる。卒業生には政治家、医師なども多く、サンパウロ市元市長のフェルナンド・ハダジ氏も同校出身だ。
 生徒の自殺が相次いだ期間、同校は試験期間中で、授業はなく、全学年の採点作業が行われていた。10日に最初の自殺が発生した後、学校側は専門家を手配し、授業再開となる23日に自殺防止対策プログラムを始める予定だったが、22日に2人目の自殺が起きてしまった。2件とも原因は判明していない。
 22日夜にコレジオ・バンデイランテス側から保護者に配布された文書には、サンパウロ市内では他校でも生徒の自殺が起きていると記されていた。同市東部のカトリック系の学校では先週、生徒の自殺が発生し、同市南部の私立校でも昨年、自殺者が出ている。
 コレジオ・バンデイランテスのマウロ・アギアール校長は「2人ともよい生徒で、両親も教育熱心な人たちだ」と語っている。教師や生徒達に話を聞くと、皆、涙をこらえ切れない様子だ。
 23日には全学年の生徒と教師たちの対話集会がもたれた。教務主任のエステーラ・ザニーニ氏は、「生徒に高い学業レベルを求めている事は確か。しかし、同時に豊かな人間性を育むことも重視してきた」と語る。
 自殺した生徒の1人に生物を教えていたカロリーナ・オレビ氏は、「自分の教えていた生徒がこんな事になるなんて夢にも思わなかった」と語る。
 心理学者のカリーナ・フクミツ氏は、幼年期から十代にかけては、これまで保護されていた環境から抜け出し、自分の居場所を確保する時期だけに、子供が大きな苦痛を感じることがあるとし、「子供は、決して広くない本人の視野の範囲で矛盾に苦しみ、絶望し、命を絶ってしまう。親は子供の心理状態に常に注意することが必要だ」と語る。
 同校に子供を通わせている親は動揺を隠せず、「最初に自殺が起きたとき、子供とはよく話し合い、『いつでも貴方の味方よ』と伝えたわ。それなのに短期間で2度目の自殺が起き、ショックを受けている」と語った。
 現在、世界では年間の自殺者数が80万人に上ると推計されている。15~29歳の青少年の場合、自殺は第2番目に多い死因だ。
 一方、ブラジルでは、15年に1万1736人が自殺した。人口10万人あたりの自殺率は5・7人で、死因の第4位(男性だけ見ると、殺人などの暴力行為、事故に次ぐ第3位)だった。この内、722件は15~19歳の子供の自殺で、過去10年間で最大だった。
 ブラジル政府は、2020年までに自殺率を10%減らすことを目標に掲げている。

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