ホーム | コラム | 特別寄稿 | 提言 こうすれば活性化する?!=県人会について考えたこと=日本ブラジル中央協会常務理事 桜井悌司(2018年5月9日記)=《6》

提言 こうすれば活性化する?!=県人会について考えたこと=日本ブラジル中央協会常務理事 桜井悌司(2018年5月9日記)=《6》

「少なくとも5年毎に母県からミッションを派遣してもらうこと」

 県人会はいつまでも母県との繋がりを大切にしなければならないことは当然である。そのため毎年でも県知事等幹部の来伯を要望したいところである。
 しかしながら、県の財政事情もあるので、せめて県人会創設時からみて5年毎の節目の際には、県からの来伯を強く進言し、実行に移してもらうべきであろう。
 そのためには相互交流という観点から県人会からも訪日団を派遣することが望まれる。県側のミッション派遣のための予算要求もあるので、節目の年の2年前くらいに県人会の訪日団を派遣し、県に重要な周年時に来伯してもらうようにする。

「姉妹都市間交流をフルに活用すること」

 日本とブラジルの都道府県市町村間の姉妹都市提携件数は、57件で米国、中国、韓国、オーストラリア、カナダに次ぐ堂々第6位に位置する。残念なのは、2000年以降の締結案件が無いことであるが、交流関係の活性化は、県人会の活性化に繋がると考えるべきである。
 ブラジルとの姉妹都市交流を持っている都道府県は、下記表にある23県である。県人会と姉妹都市は必ずしも直接の関係はないかも知れないが、考慮に入れておくべきである。
ブラジルとの姉妹都市交流は、日本ブラジル中央協会の連載エッセイ「ブラジルを理解するために」の連載93を参照のこと。

「留学生・研修生交流を強化すること」

ASEBEX(日本留学生研修員ブラジルOB会)主催の「KOSHUKAI(講習会)」の様子

ASEBEX(日本留学生研修員ブラジルOB会)主催の「KOSHUKAI(講習会)」の様子

 日本の若者の留学意欲が減少しつつあると言われているが、次代を担う若者の交流は極めて大切なことである。前述のように県費による留学生・研修生の交流は、今後とも継続、できれば強化して欲しいものである。日本や母県を訪問し、様々な体験をした若者は、必ずや県人会の将来のリーダーとして活動に参画してくれよう。
 日本の150の大学のホームページをチェックしたところ、ブラジルの大学と留学交流協定を持つ大学数は、57大学で、相手のブラジル大学数は、43大学、合計案件数は、116件である。どこまで活発に交流が行われているかはわからないが、これらの大学交流も県人会の活性化に繋げていけば、素晴らしいことである。
 下記にブラジルの大学と交流関係を持つ大学の所在県を記す。日本とブラジルとの大学間留学交流の詳細は、日本ブラジル中央協会の連載エッセイ「ブラジルを理解するために」の連載99を参照のこと。

「日本や母県との繋がりで物事を考えること」「過去ではなく、今とリンクしたプログラムを考えること」

秋田県人会館で行われた、ブラジル本荘追分会とグループ民共催の「第3回本荘追分ブラジル大会」の入賞者や審査員のみなさん

秋田県人会館で行われた、ブラジル本荘追分会とグループ民共催の「第3回本荘追分ブラジル大会」の入賞者や審査員のみなさん

 県人会活動とは直接結びつかないが、筆者も「大阪サンパウロ姉妹都市協会」に関係している。同協会では、毎年「ポルトガル語スピーチコンテスト」を開催し、優勝者をサンパウロに派遣している。またサンパウロで開催される日本語スピーチコンテストの優秀者を日本に招聘している。協会は財政基盤が弱体なので、大阪市やエミレーツ航空の支援・協力を受けている。
 秋田県人会は、3年前から「本荘追分大会」を開催している。毎回80名くらいの参加者の中から選ばれた優勝者が、日本の「本荘追分大会」に参加する。2018年は、日系人ではないカリオカ娘が優勝し、8月の秋田での大会に参加するという。日本文化の広がりを感じさせる。
 沖縄県人会は、最強の県人会であるが、ウチナンチュウの世界的ネットワークを駆使して、「過去」ではなく、現在進行形の「今」プログラムを展開している。演歌でもなく民謡でもない人気バンドの「ビギン」のコンサートは、大成功であったと伝えられている。(つづく)

image_print