ホーム | 日系社会ニュース | 人文研=50周年記念誌を刊行=15日、出版記念会を開催=ブラジル日系史研究の本丸

人文研=50周年記念誌を刊行=15日、出版記念会を開催=ブラジル日系史研究の本丸

創設時のメンバー。(左から)斉藤広志、アンドウ・ゼンパチ、増田秀一、河合武夫(人文研提供)

創設時のメンバー。(左から)斉藤広志、アンドウ・ゼンパチ、増田秀一、河合武夫(人文研提供)

 サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長、以下「人文研」)は2015年の創立50周年を記念して『人文研史―半世紀の歩み―』を刊行した。人文研は80年代の日系人口調査など重要な成果を残し、日系社会研究を牽引してきた。数々の調査を手がけてきた人文研だが、自らのことに関しては今回初めて。

 「史実だけでなく、研究者が目録として参照できることを目指した」と『人文研史―半世紀の歩み―』を中心になって編纂したJICA青年ボランティアの長尾直洋さんは言う。
 人文研専任理事の高山儀子さんは、同研究所の特に重要な成果として「日系人の実態調査」(1980~90年)と「『日本移民80年史』編纂」(1989~92年)を上げた。
 実態調査は86年にJICAから調査の委託を受け、数年がかりで実現した。87年から88年にかけて約110人を動員して全伯を調査し、1988年当時で「日系人口は128万人」という公式日系人口が算出された。長尾さんは「今もこのときの結果を元に日系人口が推定されている」と説明した。
 『80年史』編纂は人文研が協力、実施した。歴史だけにとどまらず、農業・商工業、教育、文化、宗教など多岐分野についての詳細な説明、調査が掲載された。高山さんは「それまでも10年おきに記念誌が出ていたが、調査の質が類を見ないもの」と話した。
 人文研は1965年に日系社会の研究を中心目的に創立された。初期メンバーには中尾熊喜、蜂谷専一、河合武夫、竹中正、斉藤広志、アンドウ・ゼンパチ、半田知雄、鈴木悌一、増田秀一ら日系社会リーダーや有識者が名を連ねていた。
 90年代にはデカセギ調査を行うなど、時代とともに体制や研究対象を変化させた。80年代中ごろから2000年代初頭までは外務省や在聖総領事館から調査委託を受け、全盛期を迎えた。
 03年から人材不足により活動が停滞。07年には顧問だった宮尾進氏が閉鎖を主張したが、話し合いの末、再生に向けて継続が決まった。以降、個人研究、共同研究、外部と人事交流、著書出版、情報発信を行い現在に至る。
 同書の発行部数は300部。出版記念会が今月15日午後6時半から、聖市の青森県人会(Rua Dr. Siqueira Campos, 62, Liberdade)で開催される。入場無料、当日の出席者には同書が無料で配布。後日に入手する場合は、人文研(Rua São Joaquim, 381, Liberdade)で50レアルで購入できる。


□関連コラム□大耳小耳

 『人文研史』には人文研の財務分析が収録されている。長尾さんは「コロニアの一団体がどのように運営されていたのかを知れる資料。数字を見るとインフラや会員数減少で苦しかった歴史を紐解くことが出来る」と言う。現在の人文研は借金無しで運営されていて、これは80年代に牛に投資したことが功を奏したため。この収入が今でも全体の3割以上を占める。投資を決めたのは、当時理事長だった企業家の山本勝造氏だったらしいが、やはり先見の明があった。

image_print

こちらの記事もどうぞ