移住150年=ハワイで海外日系人大会=「世界の日系レガシーを未来の礎に」=秋篠宮同妃両殿下がご臨席

(提供・公益財団法人海外日系人協会)

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 明治元年に約150人の日本人が初の集団移民としてハワイに渡ってから150年――海外日系人協会(田中克之理事長)は「第59回海外日系人大会」を6、7の2日間、米国ハワイ州ホノルルで開催した。同大会のハワイでの開催は50年ぶり。『世界の日系レガシーを未来の礎に―ハワイ元年者150年を祝って―』を総合テーマに討議が行われ、四世以降の世代にも三世同様の在留資格の要求するなど、6項目からなる決議を宣言した。

 今大会では、秋篠宮同妃両殿下をお迎えし、世界16カ国から298人が参加。6日午前9時からの開会式では、両殿下がお言葉を述べられたほか、田中理事長が主催挨拶、佐藤正久外務副大臣、デービット・イゲ同州知事、ハワイ日系人連合協会のシェリー・タムラ会長が来賓挨拶した。
 その後、国際協力機構の北岡伸一理事長の記念公演、堀坂浩太郎上智大学名誉教授(海外日系人協会常任理事)の基調講演「日本の近代化と移住 ヒトのネットワークをつくる」が行われた。午後からは「日系人・日系社会のレガシーとは」をテーマに、パネル・ディスカッションが2部構成で行われた。
 今大会には、ブラジルからは30人が参加。パネル・ディスカッションの第一部「日系資料館の連携に向けて」ではブラジル日本移民資料館の山下リジア運営副委員長、第二部「日系人の社会活動と課題への取組み」では与儀昭雄会長がブラジル日系社会を代表し、それぞれ講演を行った。
 参加した山下副委員長によれば、戦時中に各国で日本移民にどのような弾圧が加えられたか、認識を確認しあう場面もあったという。
 「米国での強制収容の歴史は知られているが、他の国での話は余り知られていない」と語り、「将来的には共通のテーマを取上げてシンポジウムを開くなど、現実的な連携が可能では。非常に有意義な内容だった」との感想を語った。
 大会宣言では「世界の日系レガシーを未来の礎に―ハワイ元年者150年を祝って―」と題して、6項目からなる決議が採択された(大会宣言の全文は6面に掲載)。
 今回の宣言では、若い世代のアイデンティティ形成のため、四世以降の世代にも三世同様の在留資格付与や重国籍の容認、日本語教育への積極的支援等について、日本政府に対して引き続き要請した一方、新たな決議も含まれた。
 パネル・ディスカッションで議論された日系資料館の連携については「各地のレガシーを世界の日系人が共有し、さらなる発信強化のため資料館同士の情報交換・連携を促進」を謳い、日系資料館連絡協議会の設立を目指すとした。
 そのほか、世界に広がった日系レガシーを礎に、世界の日系間の連携を促進し国際社会への一層の貢献を果たすべく、元年者がハワイに上陸した6月20日を「国際日系デー」と宣言した。