《ブラジル》高齢者優先駐車スペース=違反者への罰金開始で、高齢者証明書申請が急増

交通工学公社の職員(参考画像・Rovena Rosa/Agencia Brasil)

交通工学公社の職員(参考画像・Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 ブラジルでは、スーパーなどの駐車場に障がい者や高齢のドライバー専用の優先駐車スペースが定められている。
 こうした人々のための優先駐車スペースは店の近くに指定され、障がい者や高齢者が店まで歩く距離を短くする事も配慮されている。
 しかし、高齢者にも障がい者にも当てはまらないのに優先駐車スペースを利用する人々が後を絶たず、その実情を映像で捕らえようと、ニュース番組が直撃取材を試みると、逆上してカメラマンに襲い掛かる人もいる有様。ブラジルでは、かくも一般市民のマナーのレベルが低い。
 しかし、サンパウロ市が昨年9月から、ショッピングセンターやスーパーの優先駐車スペースを利用するためには公的機関発行の高齢者証明書の提示を義務付け、違反者に罰金を課す条例を制定したため、高齢者証明書の発行申請ペースは2・25倍に伸びた。
 ジョゼ・ゴメスさん(67)は、高齢者優先スペースに駐車する際、4カ月前に取得した高齢者証明書をラミネート加工したものを、外から見えるようにダッシュボードに置いて車を出る。「ちゃんと取ってよかったよ」と語る。
 地元新聞社の調べでは、高齢者ではないのに高齢者専用スペースに駐車しても罰金徴収となっていなかった2016年9月から2017年6月までの高齢者証明書発行枚数は2万7776枚だが、罰金徴収が始まった2017年9月から今年6月までの発行枚数は6万2527枚だ。
 サンパウロ市内の交通違反を取り締まる交通工学公社(CET)によると、違反、優先スペース駐車に罰金徴収が始まって以来、既に2千件を超える摘発が行われたという。(16日付エスタード紙より)