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俳句

ニッケイ俳壇(909)=富重久子 選

サンパウロ  林とみ代

指揮棒に合はぬ合唱百千鳥

【「合唱」、多くの人と声を揃えて歌うのは実に楽しく、またよい歌曲の合唱を聴くのも楽しいものである。
 この句の様に、楽譜を見るのにとらわれて指揮棒に合わないということはよくある事。それにしても季語の「百千鳥」がユーモアも交えたよい選択の佳句である】

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ニッケイ俳壇(908)=星野瞳 選

アリアンサ  新津稚鴎

冬耕や錆びてキコキコ云ふ耕車
背広着し案山子の哀れ見て通る
故国訪い逢えざりし友の賀状来る
河へだて牛啼き交わす夕立晴
色褪せし旱の蝶のとぶばかり

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ニッケイ俳壇(907)=富重久子 選

サンパウロ  広田ユキ

からからと音して浅蜊計らるる

【時々魚屋に浅蜊があると買ってくるが、若い魚屋さんは篭に浅蜊を掬って秤の入れ物に威勢よくこぼし入れ、この俳句のように「からから」といい音を立てる。
一読平坦な俳句でありながら、その場の魚屋さんの様子が眼に見えるようで楽しい一句である】

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ニッケイ俳壇(906)=星野瞳 

アリアンサ  新津稚鴎

沈み行く月に妻恋鹿の鳴く
横書きの文親しめず秋灯下
生え広がり咲き広がりて秋桜
引力に耐えて暮れゆくパイナかな
除夜告げて我家に古りし鳩時計
咳激げし枕を掴み起き直り

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ニッケイ俳壇(905)=富重久子 選

サンカルロス  富岡絹子

顔洗ふ猫の朝(あした)や春隣

【猫を飼っていると、よくこの句のような猫の朝の仕種を見るが、縁側や出窓の日当たりのよいところで、丹念に顔を何回も前足で拭いながら気持ちよさそうにしている。 季語の「春隣」は、「春近し」と同じでもうすぐそこまで春が近づいている様子であって、春を待つ〝冬の季語〟である】

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ニッケイ俳壇(905)=富重久子 選

サンカルロス        富岡 絹子 顔洗ふ猫の朝(あした)や春隣 【猫を飼っていると、よくこの句のような猫の朝の仕種を見るが、縁側や出窓の日当たりのよいところで、丹念に顔を何回も前足で拭いながら気持ちよさそうにしている。 季語の「春隣」は、「春近し」と同じでもうすぐそこまで春が近づいている様子であって、春を待つ〝冬の季語〟で ...

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ニッケイ俳壇(904)=星野瞳 選

アリアンサ         新津 稚鴎 煮こごりや義務の如くに飯を食ふ 海暮れてかりがねに遠き星一つ 馬に乗ってから霜消しを所望せる 諦めは安らぎに似て寒夕焼 大根抜きし穴に夕風吹き初めし 秋耕の老にアヌーのつきまとひ 【作者は移民ではなく一人で来てアリアンサに自分の思うままに住みつき、思うままに自分の天地を生り、たとえばチーク ...

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ニッケイ俳壇(903)=富重久子 選

ヴァルゼン・グランデ 馬場園かね

北の人故里語るカジューの雨

【この大都のサンパウロにも二ヶ月あまりの乾季が続いたが、ここ二三日静かな雨があった。仕事場の窓から「ああ!これがカジューの雨であろうか」と暫く墓所の木々を濡らす静かな雨を眺めている…

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ニッケイ俳壇(902)=星野瞳 選

   アリアンサ         新津 稚鴎われに六句虚子入選句虚子祀る鹿鳴くや二人を娶り戻り来ず木いも擦る土人女乳房ゆすり上げ木いも擦る土人女丸太に掛け並び河波の飛沫とび来る青嵐ゴヤス野の空の広さよ星月夜   カンポスドジョルドン    鈴木 静林七夕や願いは手芸上達を道譜請弁当がかこむ大榾火一日燃ゆる山家囲炉裏の大榾火薪不足 ...

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ニッケイ俳壇(901)=富重久子 選

セザリオ・ランジェ  井上人栄
ときめきの心にも似て春を待つ
【「春を待つ」丁度この頃の季節である。高階から外を眺めると、墓場の森など枯れ色が目立ち侘しい景色が目に入る。林立するビルの中庭や前庭の草木も枯れ色が目立ち、人の出入りもまばらで冬の様相をなしている。
八月から春の季節で、「ときめきの心にも似て」とは、若々しい作者の心情の表れであって、この一句を瑞々しい佳句となしている】

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