グルメクラブ 1月7日(金) 俳優の川谷卓三似の青年は二十代前半らしく若々しくリズミカルに口を動かしているが、奥歯でしっかり噛み砕いている様子はなく、「(ウ)メー(ウ)メー」と、ヤギのようである。作家の開高健を埼玉県出身にした面構えの四〇代独身男は年相応の落ち着きでよく咀嚼しながら飲み込んでいるが、いちいち味を吟味しているのか ...
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話題 いつかピコレーオジサンになりたい
グルメクラブ 1月7日(金) 氷菓の好きな子供だった。小遣いの大半はマンガ本とアイスに消えた。 北陸のN県限定品とは知らずに食べていたイチゴ味の『桃太郎』は当時最も安く三十円、ワンランク上の『あずきバー』や『チョコモナカ』は五十円した。 巨人軍の帽子をかぶった少年は桃を定岡、あずきを西本、チョコを江川と考えていた。名将藤田 ...
続きを読む »酒 ハイ、チーズorハイ、ウイスキー?
グルメクラブ 1月7日(金) 突然ですがクイズです。 【問い】日本人はチーズでしょうかねとぼそぼそと意見しています。アメリカ人はいやいや、クッキーでいきましょうと慇懃無礼な態度。これに対し、イタリア人とアルゼンチン人はウイスキーに決まりやと大声でまくしたて、その横でメキシコ人はテキーラを主張しています。さらに韓国人が出てきて ...
続きを読む »エンパーダをスプーンで
グルメクラブ 11月19日(金) サンパウロ市から北西約六百キロ、ミランドーポリス市にある弓場農場を訪ねた。その夜、有名なユバ・バレエを久しぶりに鑑賞。お年寄りから赤ん坊まで、農場に暮らす全員で演じられる「喜びの歌」に感激した。♪太陽が熱いから、帽子をかぶらず歩いた~。と彼らは繰り返し歌う。あふれる詩情の裏側に秘められた禁欲的 ...
続きを読む »San Paolo/Sao Paulo -5- ウサギは火曜日に限る
グルメクラブ 11月19日(金) 月曜日より火曜日に、休みの疲れがどっと来る体質のようだ。暑い季節はさらにひどい。だから、最近は火曜日の昼食に人一倍、気を使っている。 牛はいけない。仕事のペースがますますのろくなってしまう感じがしてしまう。魚は跳ねていいのだが、体力・気力の底上げをたくらむときには、イメージ的にちょっと淡白じ ...
続きを読む »ビールも健康志向
グルメクラブ 11月19日(金) 女三十、肌の曲がり角とすれば、男三十、肝臓の曲がり角のようだ。やや肥満が目立ち気味だったZが、突然体調不良を訴えた。医者の診断では、「肝臓に脂肪あり要注意」。三十路を特製ピンガで祝ったばかりのZ、ショック。眠れない夜が続いているんです、と漏らす顔は青白い。事情を知った同僚K。「まぁ、気にしない ...
続きを読む »San Paolo/Sao Paulo -4- 「ベニスの青春」
グルメクラブ 11月5日(金) 一九九八年、一レアルは一ドルで、ブラジルが今より一千万人分は身軽だったころ、わたしの財布の中身は乏しく、体重も五キロは軽かった。そんな時代、わたしは毎日毎食を、安バールにお世話になっていた。牛、牛、豚、魚、腸詰、オムレツ、鶏、鶏とメニューの端から端まで、あらかた食い尽くしてしまったかと思ったある ...
続きを読む »「話題 SOS SOJABRASIL」
グルメクラブ 11月5日(金) 先日、モッカ区を訪れたおり、目抜き通りのモッカ街まで足を延ばしてみた。活気あふれる雑踏の商店街。古本屋、下着専門店、駄菓子屋、電気屋と、都心のショッピングやスーパーまでいかなくともここでたいての生活用品がそろう。顧客の多くは地元住民のようで、学校や職場の休憩時間あるいは、その帰り路に買い物に立ち ...
続きを読む »「酒 サプカイア 変わらず70年」
グルメクラブ 11月5日(金) カシャッサ・サプカイアの生産が始まった一九三三年は、社会学者ジルベルト・フレイレの「大邸宅と奴隷小屋」が出版された年でもある。メーカーの名前は、「センザーラ(奴隷小屋)」という。もし狙っているならその洒落たネーミングセンスに素直に感心する。この酒、派手さはないが、仕上がりは芳醇。堂々たる風格は、 ...
続きを読む »Sao Paolo / Sao Paulo -3-甘い時間
グルメクラブ 10月22日(金) 駅のホームのベンチに腰掛け、暮れなずむ風景を見ながら、次の電車がくるまでぼんやり過ごすなんて、いつ以来のことだろう。普段の移動手段は地下鉄かバス。待ち時間はあまりないし、あればあったでイライラタイム。穏やかな気持ちにはなれない。 モッカ駅。本当にここは都心だろうかと疑いたくなるくらい、長閑な ...
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