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2003年

五輪代表候補育てた二世=渋谷幕張高校サッカー部 宗像マルコス監督=連載(下)=闘莉王の祖母は泣いた=「この子が日本の教育受けられるなんて」

12月25日(木)  「負けた後にチームみんなで涙する。そんなアマチュアの純粋さが最高なんです」  百七十六校が高いレベルで全国大会の切符を争う千葉県で、宗像マルコス望さん(四四)は渋谷幕張高校サッカー部の監督として、高校生の指導に情熱を傾ける。  アマチュアサッカー指導への道――東洋工業で日本のサッカーに幻滅感を覚えつつあった ...

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五輪代表候補育てた二世=宗像マルコス監督=渋谷幕張高校サッカー部=日本で悲喜こもごもの体験=連載(上)=サンパウロFCとUSP

12月24日(水)  日系三世の選手を日本でオリンピック代表候補に育て上げた二世の監督、宗像マルコス望さん(四四)。愛弟子、田中マルクス闘莉王(トゥーリオ)は十月に帰化するや、たちまちアテネ五輪候補に招集された。マルコスさんの指導は厳しい―。サッカー部創部当時、不良生徒も多かった千葉県の渋谷幕張高校を、現在の名門に育て上げ、日本 ...

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ウルグアイ=自閉症児教育の曙光=連載(下)=JICA専門家=三枝たか子さん=〝逆風〟があった生活療法=いま定着、職業訓練を

12月18日(木)  「こころと体の健やかな子どもを育てたい」  北原さんが開園した武蔵野東幼稚園の理念である。  現在、モンテビデオヒガシ学校の校舎の一室には、武蔵野東学園を創設した北原さんと夫で理事長だった勝平さんの胸像が、三枝さんを見守るように並ぶ。  「強い信念の持ち主でした。自ら道を切り開く力を持っていた」。三枝さんは ...

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ウルグアイ=自閉症児教育の曙光=連載(上)=JICA専門家=三枝たか子さん=子どもの自立催す療法=18日にサンパウロ市で講演会

12月17日(水)  自閉症――。脳の障害によって生じるこの病気について、正しい理解を持つ人は少ない。「心の殻に閉じこもりがちな人々」といったイメージを思い浮かべがちな自閉症だが、その症状は様々だ。そんな自閉症児の教育に全てを賭けた女性がいる。一九九四年、自閉症児教育を専門にウルグアイに開校したモンテビデオヒガシ学校で、子供たち ...

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消えなかった日本語教育=戦中、戦後の日系社会混乱の中で(5)=「ANDES」極秘裏に閲覧=上新さん=養蚕小屋で教えた日々

12月16日(火)  一九四五年八月一日。バストス市(SP)郊外のモンテアレグレ移住地で青年団発行の会報、「ANDES(アンデス)」が産声を上げた。B5判で手書きによる五十ページほどの小冊子で、子弟の日本語教育を目的にしたものだった。  『本誌は絶対に外人の目に触れざる様に』、『一覧後は、特に保管者の許可なき限り貸出は許さず』な ...

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消えなかった日本語教育=戦中、戦後の日系社会混乱の中で(4)=「村の日語校再開させたい」=大浦さん=警察の副署長に直訴

12月13日(土)  日本は戦争に敗れて、焦土と化した。祖国に帰れないなら、ここ(ブラジル)に古里をつくろう――。  戦後間もなくのスザノ福博村。村内の日系人宅を一軒一軒歩く二十歳そこそこの青年がいた。「日本語学校を再開させたいのですが、子供を通わせてくれますか」。警察当局を恐れる保護者をなだめては、生徒の確保に奔走した。  「 ...

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「グローボ・レポーター」国外在住ブラジル人特集=世界の〝デカセギ〟事情(6・最終回)=ブラジル人であること=帰りたい、家族のもとに

12月13日(土)  ブラジルの旧宗主国、ポルトガルは、ブラジル人にとって母国と世界を結ぶ港のようなところだ。しかし、この国でブラジル人女性に対して、まず、最初に斡旋される職業は、〃売春婦〃だ。  人権はない  「ポルトガルにはカーザ・デ・アウテルナスというネットワークがあり、少女たちを誘い込んでいる。少女たちは職業斡旋を受け、 ...

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消えなかった日本語教育=戦中、戦後の日系社会混乱の中で(3)=戦勝派の家族に食料援助=飯田さん=「私は〝灰色〟貫いた」

12月12日(金) 「私は、どちらの側にも属さない〃灰色〃を貫いた。移民史は認識派を中心に書かれているが、戦勝派が悪いとは思いません」  飯田静子さん(九〇、香川県出身)=サンジョゼ・ドス・カンポス市=はポンペイア市郊外のコレゴ・フツーロ植民地で財を成し、一九三〇年代後半、同市内に借家を三軒建築。うち一軒を認識派の地方有力者に賃 ...

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消えなかった日本語教育=戦中、戦後の日系社会混乱の中で(2)=戦後初の私塾の開設者=安藤さん=非合法経営不安だった

12月11日(木)  「戦後初めての私塾は、私が開けたのですよ」  サントス厚生ホームの居室で、九十二歳の老女が静かに口を開いた。入所者の中でも年長者に入るが、物腰はしっかりとしており、言葉の端々に教育者の威厳が漂う。  旧双葉学園(現サウーデ日語学校)の創立者で八十八歳まで教壇に立った。  安藤富士枝さん(岐阜県出身)は三四年 ...

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「グローボ・レポーター」国外在住ブラジル人特集=世界の〝デカセギ〟事情(5)=ブラジル人学校の寂しい日々=愛情に飢える子どもたち

12月11日(木)  デカセギをしている親たちは、重労働ながらも高給を得ることで、心の矛盾を片隅に追いやることができるようだ。しかし、子どもたちにとって、いつも問題ないとは限らない。日本で最も大規模なブラジル学校、鈴鹿市のアレグリア・デ・サベール校には児童生徒四百五十人が通学。両親が仕事に忙しく家にいないため、愛情に飢えた子ども ...

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