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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人

人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(7)=セスナで太平洋上空へ =一気に遺骨を空中に散布

9月7日(火)  金田氏との別れは、日本から帰ってから暫らくして、秋も深まりかけた日であった。  気分が良くないと電話が有り、直ぐに訪ねて行った。昨日、ワイフが届けた食事も半分残っていたので、少し心配になり、様態を聞いたが、金田氏はベッドに寝たままで、「胸が息苦しい感じで、起きあがれない」と話して、私が「病院に行きましょうか」と ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(6)=藁葺きの農家、今はなく=亡き両親をしのぶ

9月4日(土)  朝早く、鳥達の賑やかなさえずりで目を覚ました。  珍しく、金田氏はまだ床の中に居たが「目が覚めましたか」と声を掛けて、起きあがって、窓のカーテンを開けた。  「朝食は遅くに頼みましたので、今から散歩でもしますか」と話して着替え始めた。  旅館の横から、わき道に入り、暫らく歩くと、横を小川の流れる道に出た。あたり ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(5)=自身の髪を弟の遺髪の壺へ=僧侶に永代供養を依頼

9月3日(金)  鈴木氏は、別れの時に、電文用紙とオルゴールを金田氏に渡すと、金田氏の手を握り締め、「私の心の荷が少し軽くなりました。生き残った私が出来る事は、このくらいです。これからの日本の旅を楽しんで下さい――」彼はそう話すと、手を振りながら別れて行った。  二人で、鈴木氏と別れてから、暫らく皇居の方に歩いた。晴れあがった天 ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(4)=弟の形見=オルゴールとザラ紙=特攻機突入前に電信

9月2日(木)  成田には予定時刻に到着して、通関もすぐに済み、金田氏と都内のホテルにバスで向かった。高速道路は混みもせず、五時にはホテルに着いたので、荷物をかたずけると、二人でホテルの周りを散歩して、東京の賑やかな商店街を楽しんだ。  しばらく歩くと、蕎麦屋の美味しい、だしの効いた汁の匂いがして、二人して 申し合わせた様に、暖 ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(3)=なぜ許可をする=日本赤軍の子の入国

9月1日(水)  私はこの様な金田氏の声を初めて聞いたので、胸の内で感激の波が起きていた。  金田氏は自分の最後の旅をするにあたり、私を誘ったのは、自分の言葉を私に聞いてもらいたいと考え、そしてその言葉を残そうと思っているのだと感じ、私はその事を心に感じると、なんだか彼の長い人生の物語を全て聞きたいと思う様になつた。  金田氏は ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(2)=「二重国籍を認めよ」=ほかの先進国並みに

8月31日(火)  「私はこの日本行きの直ぐ前に、吉田氏のアメリカ帰化試験のお手伝いをしましたが、彼はアメリカ国籍でないと社会保障のべネフェクトを受ける事が制限されるので心配して、帰化試験に通訳を付けて、アメリカ国籍を取られたが、日本も二重国籍を認めてくれるのであれば、彼の様に九十歳を迎えて、帰化試験の苦しみを味あわせなくとも良 ...

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人生の幕引の前に=日本政府に向け真情を吐露した米国在住老人=(1)=1度乗ってみたかった=日航ファーストクラスで訪日

8月28日(土)  メールマガジンからリック野口氏の「アメリカ・カリフォルニア発、百姓ジジイの還暦過去帳、思い出語り」四部作の一部を紹介する。実話に基づいているという。「金田氏」という人物の言動を通して「国を愛するということは、どういうことなのか」、「真の日本人とはどんな人か」が語られている。 【リック野口】戦前の台湾の台北に生 ...

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