ホーム | 連載 | 2009年 | 日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!

 「南米日本人発祥の地」は一八〇三年にロシア船に乗ってフロリアノーポリス港に到着した若宮丸の四人――とのイメージが強いが、史実をたどると、どうやらそうではないようだ。それよりも遙か以前、今から四百年以上も前に南米の地を踏んだ日本人の記録が残されている。日本とブラジルとの歴史的関わりを考える上で、ポルトガル(中世「南蛮」と称された)は欠かせない国だ。この三国関係を軸に、改めて日伯の歴史を俯瞰し、カトリック布教と大航海時代という背景の中で、日本人が四百年前にブラジルに来ていた可能性を検証してみた。将来を見通すには、その分、過去を知る必要がある。百年の歴史から日系社会の将来を考えるより、より長い歴史の中から日伯関係を俯瞰することで、日系社会の二百年後、三百年後を構想するアイデアの一助にならないだろうか。(深沢正雪記者)

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(10・終)=ポルトガルに〃日系人〃?!=奴隷解放で再び日本人登場

ニッケイ新聞 2009年4月24日付け  スペインには四百年前の日本人の末裔が、少なくとも六百四十五人確認されていると前回紹介した。ならば、ポルトガルはどうなのか。日本姓が残っているという話は聞かないが、日本人奴隷がポルトガルまで連れてこられたことは前述のようにあちこちに歴史的な記述があり、事実と考えて良さそうだ。  中隅さんは ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(9)=民族絶滅の亡霊が徘徊=今も残る慶長使節の末裔

ニッケイ新聞 2009年4月23日付け  日系社会には〃民族絶滅〃の悪夢を背負った亡霊が徘徊している――。  山田長政、タイ日本人町の長になった人物だ。四百年後の現在、日本人町の痕跡や子孫はまったく残っていない。時の流れの中で跡形もなく消え去ってしまった。  彼が朱印船にのってシャムに渡ったのは一六一一年。当時は東南アジアのあち ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(8)=ポルトガルからオランダへ=政教分離進む新教に軍配

ニッケイ新聞 2009年4月21日付け  大航海時代はスペインとポルトガルが競って世界中に飛び出した。カトリック布教と貿易が対になって進出し、最後に植民地化する流れだった。欧州大陸で新教が勢力を増しているため、旧教側としては新布教地を開拓せざるをえなかった背景があった。  だが百年も持たずに、新興勢力などに追い越された。一五八八 ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(7)=キリシタン浪人との説も=下克上の世を疎み出国か

ニッケイ新聞 2009年4月18日付け  一五八七年、豊臣秀吉は九州征伐の途上、宣教師やキリシタン大名によってたくさんの神社仏閣が焼かれて仏教徒が迫害を受けており、日本人が奴隷となって海外に売られているとの報告を聞いて激怒した。  そこで秀吉は同年六月にキリスト教宣教師追放令を発布し、その一条にポルトガル商人による日本人奴隷の売 ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(6)=50万人説は本当か?=乱暴な計算と怪しい根拠

ニッケイ新聞 2009年4月17日付け  日本人奴隷に関して注意が必要なのは、その人数に諸説があることだ。  インターネット(以下、ネットと略)上であちこちに「日本人奴隷五十万人説」がまことしやかに書かれている。  その説の唯一の根拠となるのは、鬼塚英昭著『天皇のロザリオ』(成甲書房、二〇〇六年)だ。一五八二年にローマに向け出発 ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(5)=売り渡したのも日本人=晴天の霹靂、驚愕する秀吉

ニッケイ新聞 2009年4月16日付け  戦国大名・織田信長はイタリア人のイエズス会宣教師からアフリカ系奴隷を献上され、弥助(ヤスケ)と名付けて武士の身分を与え、家来にしたとの記録がある。フリー百科事典『ウィキペディア』によれば、現在のモザンビーク周辺出身の黒人だったようだ。以下、少々長いが転載する。  「元々は宣教師アレッサン ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(4)=中国、韓国人奴隷も?=イエズス会と東方貿易

ニッケイ新聞 2009年4月15日付け  十六世紀当時、世界地図をポルトガル中心に見た時、日本とブラジルには奇妙な類似点がある。両国は世界の両端だった。世界の西端がブラジル、東端が日本だった。  堕落したカトリックを救済・再建する目的で一五三四年に設立されたイエズス会は、世界の異端者と戦うための軍隊型組織を持つ布教の〃先兵〃とし ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(3)=ペルーに20人の記録も=実は南米で一般的だった?

ニッケイ新聞 2009年4月14日付け  この頃の南米における日本人の記録は、驚くべき事に亜国の青年一人だけではない。ペルーに二十人もが住んでいた記録があるという。  在亜日系団体連合会(FANA)のサイト(http://fananikkei.exblog.jp/6461148/)の『同日本人移民史』要約には、「当時、アルゼンチ ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(2)=「小家畜か駄獣のように」=手足に鎖、舟底につながれ

ニッケイ新聞 2009年4月10日付け  一五九六年にアルゼンチンで奴隷売買された日本人青年に関し、大城徹三氏は著書『コルドバ』で、かなり踏みこんだ分析をしている。イビウナ市在住の香山榮一さんから送ってもらい、ようやく読むことができた。  この本には「さてフランシスコ・ハポンという日本青年は、当時日本との貿易が頻繁に行われていた ...

続きを読む »

日本人奴隷の謎を追って=400年前に南米上陸か?!=連載(1)=亜国に残る裁判書類=1596年に売られた日本人

ニッケイ新聞 2009年4月9日付け  「南米日本人発祥の地」は一八〇三年にロシア船に乗ってフロリアノーポリス港に到着した若宮丸の四人――とのイメージが強いが、史実をたどると、どうやらそうではないようだ。それよりも遙か以前、今から四百年以上も前に南米の地を踏んだ日本人の記録が残されている。日本とブラジルとの歴史的関わりを考える上 ...

続きを読む »