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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5―オ・アンドラーデの『基点』―伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ

ニッケイ新聞 2013年1月16日付け
 近代芸術週間のもうひとりの立役者がオズワルド・デ・アンドラーデ(Oswald de Andrade、1890―1954)です。早くからボヘミアン的生活を送り、1912年前後にヨーロッパへ渡りました。当時はフィリッポ・マリネッチの「未来派宣言」などが声高く語られていました。バッシングを覚悟でいえば、オズワルドはその当時の前衛主義にかぶれて帰ってきたといえます。そもそも、フランス人学生カミアをともなって帰伯したことも前衛的でした。男女関係に関して、カトリック国ブラジルは結構古かったので周囲の顰蹙を買っています。翌々年には入籍しないまま長子が誕生。

ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第5回

ニッケイ新聞 2013年1月22日付け  地図のバナナの生産地は高原にあり、房になって金色に塗られているバナナを目にして、先生は「バナナについていいなさい」「バナナは大きいタビモン…」「ばかねえ、たべもの、タビモンじゃない」。生徒の前に立っていたから先生はつい短いつややかな髪を引っ張った。教室で恥をかかされながらマッチョは陰湿な ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第4回

ニッケイ新聞 2013年1月19日付け  この辺はオズワルド自身が投影しているような気がします。イダリシオに土着のブラジル人としてのオズワルドの悲しみが重なっている。時々、「読む」というのは独善だナアと苦笑いします。正解など存在しない。笑わないでください。  エウフラジア先生は遅刻して学校に着いた。「やかましいわねえ、みんな」教 ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第3回

ニッケイ新聞 2013年1月18日付け  いつでも、どこでも、胸を張って、日本人だとこたえていた子どもたち。日本という偶像が崩壊を始めるのは(そういえば『落ちた偶像』という映画がありましたネ)、中学生になり、ブラジル人としてのアイデンティティが芽生えるようになってからでしょうか。今、このトシになって、人知れず流したであろう子ども ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第2回

ニッケイ新聞 2013年1月17日付け  この作品は、一口にいうなら1930年の革命を機に、労働者階級がよりよい生活を求めて闘う情熱を書いたもの。作品は労働者階級の話し言葉をそのまま移し変えていますから俗語の羅列。日本人と関係のある場面だけを抽出してみました。  大樹が涙のように露をこぼす街道で、エレスボンは日本人に土地を売った ...

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ブラジル文学に登場する日系人像を探る 5—オ・アンドラーデの『基点』—伯学校の奇妙な授業風景=中田みちよ=第1回

ニッケイ新聞 2013年1月16日付け  近代芸術週間のもうひとりの立役者がオズワルド・デ・アンドラーデ(Oswald de Andrade、1890—1954)です。早くからボヘミアン的生活を送り、1912年前後にヨーロッパへ渡りました。  当時はフィリッポ・マリネッチの「未来派宣言」などが声高く語られていました。バッシングを ...

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