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2013年

第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(92)

ニッケイ新聞 2013年10月4日  サンパウロで起きた襲撃事件の実行者で、本稿にしばしば登場した人々の、その後に触れておく。  実行者たちは、裁判の結果、20〜30年の懲役刑を受けた。が、いずれも半分以下で仮釈放となった。  筆者が、この人々の取材を開始したのは2001年であったが、その後、蒸野太郎が2009年8月、そして山下 ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦前編◇ (59)=北パラナへ移転する流れ=徒歩で海岸山脈を越えて

ニッケイ新聞 2013年10月3日  沼田小一郎(信一の父)は北パラナ視察の帰りに、道端でスイカを売っているのを見て「家族に食べさせたい」との一念から買い、それを担いで海岸山脈を越えて割らずに届けた。この父親の実行力、英断が家族を救った。そして同地から続々とパラナ州に向かう流れの端緒となった。  3家族が引越しのためにセッチ・バ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(91)

ニッケイ新聞 2013年10月3日  金品以外に、性的被害も出ていた。  加藤は色情狂であった。  川崎や島崎という女性(農場支配人の妻)が、宮様に奉仕する女性を、同志の娘の中から選び、加藤に仕えさせていた。 このことは、後に島崎が後悔して、事実関係をすべて話している。  10人余の娘たちが、サント・アマーロの別宅に、軟禁同様に ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦前編◇ (58)=地図の上の一本の線=「鉄道通って便利になる」

ニッケイ新聞 2013年10月2日  レジストロが満植になるとリベイラ河にそって18キロほど上流に、1920(大正20)年からセッチ・バーラス植民地が開設された。レジストロから河蒸気で4時間もかかって遡行した。  パラナ州ロンドリーナの草分け、沼田信一(しんいち、1918—2012、北海道)=09年12月取材=は1933年7月に ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(90)

ニッケイ新聞 2013年10月2日  加藤拓治と川崎三造は、数年前にツルんで動き始めていた。  川崎が、各地の戦勝派の前に姿を現し、自身を「日本の特務機関員」と称し、 「近く日本軍が、移民を迎えに来る。それに先立ち、天皇の特使として、密かに、高貴な方がブラジルに来ておられる。朝香宮らしい」  と、秘密めかした話法で、人を惹き付け ...

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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦前編◇ (57)=大戦余波で鉄道延長中止=見通し困難な当地の発展

ニッケイ新聞 2013年10月1日  後に海外興業ブラジル支店長(1930—33)まで務めた白鳥尭助(あきすけ)は、イグアッペ事務所長時代の1919(大正8)年3月21、28日付け『伯剌西爾時報』に、『イグアペ植民地』と題する勧誘記事を書いた。  1918年末現況を説明し、その中で「植民地将来の交通」項で、第一次世界大戦のために ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(89)

ニッケイ新聞 2013年10月1日  その後も、桜組挺身隊は、奇矯な言動を続けた。  サンパウロの中心街に、白襷に白鉢巻姿で現れ、意味不明の日本語のパンフレットを配ったり、サント・アンドレでデモをしたりした。  デモをしたときは、地元警察によって、幹部10人がオールデン・ポリチカへ送られた。  吉谷は留置場で、邦字紙記者の取材を ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(77)  

  ニッケイ新聞 2013年9月13日    臣道連盟が指揮したのではないとしたら、7、8月の、事件の続発は、何故、起きたのだろうか? 襲撃は、6月のサンパウロの脇山事件の翌月から始まっている。「認識派の大物に天誅下る!」の報に、戦勝派の過激分子が刺激された点もあったであろう。彼らの間では「決行者」は英雄扱いされていた。  ただ ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(78)  

  ニッケイ新聞 2013年9月14日    『拘留報告記』の執筆者が、オールデン・ポリチカで尋問を受けたのは、拘引後26日目であった。  尋問は、臣道連盟の内容、戦争の勝敗、四月一日事件などについてであった。執筆者は、始めは連盟を擁護する供述をしたが、書記は、これをタイプしようとしなかった。それで、以後、答えは端折った。  尋 ...

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第2次大戦と日本移民=勝ち負け騒動の真相探る=外山 脩=(79)  

  ニッケイ新聞 2013年9月17日    虐待や理不尽な取調べ以外に、被留置者は──その全員ではないが──辱めや拷問を受けた。 辱めとは、素っ裸にして放置しておく、といった類いのことで、すでに一寸記した。 拷問の凄まじい事例は『百年の水流』改訂版に二、三紹介したが、次の様な話もある。(猪股嘉雄著『空白のブラジル移民史』88頁 ...

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