ホーム | 連載 | 2015年 | 静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(10、最終回)=幸せに生きられる居場所

同窓会の様子(レスリルさん右から2人目、姉妹と一緒に学んだ友人、講師)

 焼津市の賛同を得られず、同教室が閉められる知らせは、子供たちにとっても講師たちにとっても、非常に残念な知らせとなった。 「どうにかしてくれるでしょ、と周りに言われるが、さすがに厳しい」と山下さん。「私のプロジェクトじゃない、子供たちのプロジェクトなんだということが理解されてないんじゃないか」と訴える。 ようやく実体となって現れ ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(9)=子供たちの心はぎりぎりに

同窓会の様子

 1年ぶりの先生との再会に、日本語でのおしゃべりが止まらないのはナラ・ユナ・エミリーさん(中1)。昨年ルーマニアから来日し、焼津の教室で学んだ。「最初はこんにちは、ありがとう、おなかすいた、しかわからなかったの」とおどけて話す日本語は、来日1年とは信じられないほど達者だ。 それを笑顔で聞いているのは馬場小百合さん(26)。彼女も ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(8)=抽象概念を発達させる重要性

授業の様子

 そういったこともあり、同教室では、日語だけでなく、母語で読書をすることの大切さも訴えている。「読書は抽象概念を発達させる。10歳以上で来日する場合は、母語が確立しないと日本語も進歩しない」と山下さん。 10歳前後ですでに母語が確立されている場合、その母語を中心に人格形成した方が、同じ内容を教えるにしても効率的だと言われる。ただ ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(7)=大切な子供たちの心理ケア

委託された日本インターネットスクール協会理事長の山下泰孝さん

 「宿題の提出は厳しいですよ。忘れたら歩いて取りに行かせます」と山下さん。 最初2年ほどは元々ブラジル学校に通っていた子供や不就学の子供がいたが、現在通っているのは来日して間もない子ばかり。特に焼津市は、震災後の東北の漁業への打撃の影響で水産関係の仕事が増えていることから、フィリピンからの日系人や呼び寄せが急増。一方ブラジル人は ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(6)=長期的視点が必要な教育現場

掃除の時間の様子

 「虹の架け橋教室」は、2009年には全国で32団体、34件。14年には21団体で22件の教室が開かれ、6年間で8751人が学び、4333人がいずれかの学校へ就学、そのうち2924人は日本の小中学校または高校・専修学校などへ就学した。 当初3年の予定で始まった事業だが、現場からの要望により昨年度末まで継続、今年度からは「帰国・外 ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(5)=日本社会に馴染ませる取り組み

塾の様子

 塾には日本人も通うが、その中には、小学校のとき特別支援教室にいて、中学で高校進学のため普通教室に戻されたものの遅れや違和感があったり、不登校がちだった生徒もいるという。  「放課後の部活動の時間が有効活用できれば」と話す松下さん。同市の中学校では、校外のスポーツの習い事なども部活動として認めている。同センターでの補習やボランテ ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(4)=親と日本社会の歪みの真ん中で

ソル・ナッセンテの親子の授業の様子

 外国人児童の学習が順調にいかないことを残念がる松下さんの言葉に、エリザベスさんも肯きながら、「よその子はああなったから、あの学校に行けたから、うちの子もそのままにしておけば同じようになれる、と親は単純に考えてしまう。進路は人の言いなりで学校任せ。学校に電話してもすぐに通訳に替わってもらう、それでは思いが伝わらないでしょ」と同意 ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(3)=外国児童の周りに転がる難題

翻訳した絵本とエリザベスさん

 「こどもの文化センター」で学んでいるのは子供だけではない。 保護者会で日本の教育について知る場を作り、日本語の絵本をエリザベスさん自ら翻訳して親子で楽しめるようにするなど、父兄と子供たちが共に日本の教育に馴染んでいけるように働きかけている。 「わたしが子供のころはブラジルも厳しい時代でした。今のような自由なイメージではなかった ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(2)=〃日本式ブラジル人学校〃というあり方

ソル・ナッセンテのこどもたち

 昼寝から目覚め、寝ぼけ眼で先生の足に抱き着くのは1歳のアイカちゃん。まだ言葉は片言だが、先生に促されながら自分でおやつの準備をする。 「泣いてるよ!」。慌てて先生を呼びにくるのは近所の公立小学校に通うナミエさん、2年生(日系伯ボリビア四世)。放課後は毎日、学校から直接「こどもの文化センター」に立ち寄り、宿題をしたり小さな子供た ...

続きを読む »

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(1)=なぜ情緒障害等が多いのか?

ソル・ナッセンテで学ぶ子供たち

 【静岡県発】これまで、デカセギに来た日系ブラジル人の子弟は「公立校でどうにかやっていく」か、「高い学費を払ってブラジル学校に通う」という二択だった。しかし、それだけでは割り切れず、居場所を見つけられない子供の存在や、学校教育のひび割れが浮き彫りになっている昨今、不登校の増加やフリースクールの需要拡大も受け、教育の多様化を求める ...

続きを読む »