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2015年

静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(8)=抽象概念を発達させる重要性

授業の様子

 そういったこともあり、同教室では、日語だけでなく、母語で読書をすることの大切さも訴えている。「読書は抽象概念を発達させる。10歳以上で来日する場合は、母語が確立しないと日本語も進歩しない」と山下さん。 10歳前後ですでに母語が確立されている場合、その母語を中心に人格形成した方が、同じ内容を教えるにしても効率的だと言われる。ただ ...

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農協婦人、セルトンを行く=ADESC北東伯視察旅行=レジストロ在住 滝井孝子=(3・終)=紀元前1万年にいた人類偲ぶ

風化によって穴が空いた岩、ペドラ・フラーダ

 大きな岩壁には、今でも特徴ある数々の大昔の壁画をはっきり見ることが出来た。年間を通じてほとんど雨のない乾燥地帯であること、そして切り立った岩という環境が、しっかり遺跡を保護しているのだろう。 遺跡品が掘り出された場所は、深い大きな穴になっていた。現在見つかっているのは、およそ紀元前1万2千年から1万年前までのものだという。そこ ...

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『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(71)

 北パラナにはウジーナは10カ所ある。殆どの工場の経営が悪化している。アサイの場合、近くに一つ工場があり、5年前から人件費、借地料、土地代の支払いを滞らせ始め、4年前に会社更生法を申請、裁判所はそれを受理した。 被害は、この地域一帯に及んだ。土地を貸したり売ったりしていた日系人が多い。非日系もいる。売り手の内の二人は、何とか払わ ...

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静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(7)=大切な子供たちの心理ケア

委託された日本インターネットスクール協会理事長の山下泰孝さん

 「宿題の提出は厳しいですよ。忘れたら歩いて取りに行かせます」と山下さん。 最初2年ほどは元々ブラジル学校に通っていた子供や不就学の子供がいたが、現在通っているのは来日して間もない子ばかり。特に焼津市は、震災後の東北の漁業への打撃の影響で水産関係の仕事が増えていることから、フィリピンからの日系人や呼び寄せが急増。一方ブラジル人は ...

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ADESC北東伯視察旅行=農協婦人、セルトンを行く=レジストロ在住 滝井孝子=(2)=母なるサンフランシスコ川の恵み

サン・フランシスコ川から水を送るパイプ

 10月26日午後からジュアゼイロ農業協同組合を訪問。箱詰めのぶどうに加え、輸送を待って冷蔵倉庫の中にあるものなど、たくさんの荷が収容されていた。 季節が反対になるため、北半球が寒い時期でも、こちらでは収穫がある。しかも高温乾燥地で糖度の高い果実がとれる当地からは、9月から12月まで主にヨーロッパ、アメリカ、カナダに輸出されてい ...

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『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(70)

命がけの段階へ そして強盗。 1980年代以降の大破局の煽りで、都市だけでなく、農業地帯でも、治安が悪化し、強盗が横行した。彼らも弁護士と同じ理由で、日系人を狙った。アサイでも大分やられた。 2014年、セレアイス栽培をしている大内照朗さんに訊いてみた処、被害は未だ続いていた。 「ルーラの時代が特に酷かった、2000年頃からだっ ...

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静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(6)=長期的視点が必要な教育現場

掃除の時間の様子

 「虹の架け橋教室」は、2009年には全国で32団体、34件。14年には21団体で22件の教室が開かれ、6年間で8751人が学び、4333人がいずれかの学校へ就学、そのうち2924人は日本の小中学校または高校・専修学校などへ就学した。 当初3年の予定で始まった事業だが、現場からの要望により昨年度末まで継続、今年度からは「帰国・外 ...

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静岡県菊川市=外国人児童の教育現場は今=人格形成と社会適応の現実=(5)=日本社会に馴染ませる取り組み

塾の様子

 塾には日本人も通うが、その中には、小学校のとき特別支援教室にいて、中学で高校進学のため普通教室に戻されたものの遅れや違和感があったり、不登校がちだった生徒もいるという。  「放課後の部活動の時間が有効活用できれば」と話す松下さん。同市の中学校では、校外のスポーツの習い事なども部活動として認めている。同センターでの補習やボランテ ...

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ADESC北東伯視察旅行=農協婦人、セルトンを行く=レジストロ在住 滝井孝子=(1)=クラサ計画成功で砂漠にブドウ

宇津巻さんの農園

 農協婦人部連合会(ADESC、西村千世子会長)の30人が10月25日から5日間、ブラジル北東部を訪れ、現地視察と交流旅行を行なった。一行はバイーア州ジュアゼイロ、クラサ、ペルナンブコ州ペトロリナ、ピアウイ州を回り、乾燥地帯セルトンで灌漑によってぶどう生産をする現場や、セーラ・ダ・カピバラ国立公園を見学し、各地日系コロニアや組合 ...

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『百年の水流』開発前線編 第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(69)

寿命が尽きた土 次が土の疲弊である。 これも、すでに記したことの繰返しになるが、北パラナが多くの開拓者を惹きつけたのは、その豊穣な大地であった。太古以来の大原始林が養い続けたテーラ・ロッシァの肥料分であった。しかし、それは、当然ながら永遠ではなかった。人間が植えた作物が、その肥料分を吸い取り続けたからである。肥料分は25年から3 ...

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