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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス

《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(31、終わり)=移民史はブラジル近代史の一部

後列中央が藤本誠吾さん、その右がジュリオさん

 3月21日の夕食時、同じテーブルに見慣れない若い家族が一緒に座った。一行の藤本誠吾さん(82、滋賀県)=サンジョゼ・ドス・カンポス在住=が、養子として育てた藤本ミツオ・ジューリョさん(55)の家族だった。亡くなった兄弟の子供を引き取って、育てたのだという。  藤本さんは家族に連れられて1歳で渡伯し、ペレイラ・バレットに入植した ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(30)=1500Haで中規模農家

昨年11月に結婚40周年を迎えた馬場アヤ子さんと夫の和義さん

 エジソンさんの説明は実に論理的だ。「年に大豆1回1500ヘクタール、トウモロコシ1回1000ヘクタール。枝や葉は全部、土に戻す。水は雨だけ。ここでは6カ月間、雨が降って、残りは乾期。この地域ではヘクタール当り50俵が平均だが、35俵取れれば、もう利益がでる。今年はだいたい1俵当り60レアルで、僕らはl00%輸出している。今はも ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(29)=1500Haで従業員5人

中村ネルソンさんとエジソンさん

 3月21日(火)朝8時半、一行はホテルを出発し、パウマス市から150キロにあるアパレシーダ・デ・リオ・ネグロ市にある中村エジソンさん(41、三世、リンス生まれ)の大豆農場に向かった。ネルソン会長の従兄弟だ。  パウマスは谷底のように低くなっており標高は100メートル程度だが、セーラを登るといきなり400メートルになる。上は見る ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(28)=多羅間耕地からパウマスへ

中村一郎さん

 中村会長の父・一郎さん(79、二世)にも、リンスの多羅間耕地の話を聞いた。  「僕はリンスのタンガラ植民地生まれ。父は徳島県出身。サビノで借地してトマト作りをしていた。チエテ川に近い所は、とても地味が良い。あの周囲で一番いい土地だった。30年ほど前に多羅間耕地を2千コントで買った。あの当時としては結構高かった。僕の前に、3人ぐ ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(27)=世界の果てのムンド・ノーボ(新世界)

中村賀寿子さん

 令香・中島・ビオラットさん(れいか、65、二世)さんは1989年にやってきた、最初の日系人だ。トカンチンス州が独立した年だ。夫アントニ・ジェラルド・ビオラットさん(66)が水力発電所の配電技師だった関係で、州独立に伴ってサンパウロ州バウルーの本社から派遣され、そのまま住んでいる。  令香さんは「最初は野菜がなくて困ったわ。キャ ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(26)=約5ヘクタールを500レアルで購入

谷口エドゥアルドさんと妻イザウラさん

 トカンチンス日伯文化協会の創立は1996年6月20日。パウマスの町が始まって6年目だ。会館は日本政府の支援で、移民百周年の直前、2007年に建設された。故郷巡り一行が来たすぐ後に、ブラジリアの日本国大使館によって草の根を使った体育館建設援助の署名式も行われた。  日本語教室もあり現在の生徒は12人。和太鼓は十代の若者が15人い ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(25)=北南鉄道開通でさらに経済拡大

一行の松尾治さん夫妻と現地の岡谷忠さん

 岡谷さんは「僕がきた8年前は、ほとんどトラックが走っていなかった。でも今は2台つながったトレーラーがバンバン走り始めた。大豆、牛が大きく成長してきた。急激に経済が拡大しているのを実感するよ」と感心したようにいう。  「ここから5キロほど行ったところにペトロブラスの給油ポイントがあって、その横にノルテ・スル鉄道が将来的に走ってい ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(24)=新しい町だがもう厳しい競争

川村勝さん

 ガイドに「なぜ1985年から急に独立が進んだのか?」と尋ねると、「軍事政権中は、そんな動きはご法度に決まっている。誰も言い出せなかった。でも、85年に民政移管になり、急に活性化したんだ」という。  軍事政権という重石が外れたとたん、もともと独立機運が強く、しかも国道開通で「体力」を付け始めていた地域が、勢いで名乗りを上げたとい ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(23)=JKの「国家百年の計」

5キロもあるフェルナンド・エンリッキ・カルドーゾ橋

 トカンチンス州都パウマスが凄いのは、まったくゼロから州都を作った点だ。1989年3月に承認された新州都建設法によって三つのファゼンダ(農場)を接収し、5月に定礎式、翌90年1月にはもう州都として機能し始めた。  一行が滞在中に訪れたセザル・マール公園には、その間、仮市役所として使用していたファゼンダの本宅があった。ただの農場だ ...

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《ブラジル》県連故郷巡り=「承前啓後」 ポルト・ヴェーリョとパウマス=(22)=リベルダーデとの意外なつながり

やたらと立派な「アラグアイア州政庁」

 州都パウマスは南緯10度、朝からじわじわと汗をかく暑さだ。  ガイドに案内されて最初に向かったのはプラッサ・ドス・ジラソイス(ひまわり広場)。57万1千平米という南米最大の面積を誇り、「世界でも2番目」と自慢する。  パウマスの町は、計画都市の大先輩ブラジリアをモデルにする。ヒマワリ広場は三権広場に相当し、州政庁を中心に両側に ...

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