俳優・竹本孝之の連載エッセイ-第5回-何となく全員高校進学

2002年3月21日(木)

 今日本の中学生、特に最終学年を迎えた三年生は、大きな岐路に立たされている。日本の学年制度は、小学校が六年間、中学校が三年間である。日本の義務教育はこの九年間で、その先は自由に選択出来るようになっている。今では私立の学校も増え、エスカレーター式に中学校から高校へ進学出来るケースが増えてはいるものの、まだ圧倒的に高校受験をする子供達が多い。彼等はここで生まれて始めての大きな岐路に立たされる。二〇〇一年度の調査では、高校に行かず、就職する率も三~四パーセント居るのだが、進学を希望する子供に比べると極僅かに過ぎない。私が関わっている中学生日記に出演している子供達も(特に三年生は)受験で頭が一杯のようだ。彼等に聞いたところによると、何を基準に高校を選ぶのかという問いには、「今の自分の学力で入れる高校」といった答えが一番多く、「皆が行くから」「何となく…、家から近いし…」女子では、「制服が可愛いから」等といった答えも聞かれた。高校で何をやりたいかと言う問いには、「まだ分からない」と言う答えが多かった。明確に「英語を勉強したい」と答えたこどもや、「医者になる為に…」等といった意見も小数だが聞かれた。
 今の日本の風潮は、「何となく高校へ行って……入れる大学行って……就職は何とかなるだろう…」といった流れが多い気がする。これはあくまで私個人の感覚でしかないので、全ての人がこうだとは言えないが…。
 余りに早すぎる決断は良くないと私も思う。しかし、ある程度自分の人生へのビジョンは持っておいた方が良いのではないかと思う。高校受験という自分を見つめる事が出来るせっかくのチャンスに、自分だけの将来へのビジョンを重ねてみるのも良い勉強になるのではないだろうか。

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中学生日記