コラム オーリャ!

「すみませんね、肺ガンの治療中で、声を出しにくいんです」取材の最中に、こう言った人がいる。七十五歳。鍼灸マッサージが仕事で、その最中に取材に応じてもらった。確かに治療中の「患者」だが、来院する人を鍼灸で治療する側でもある。
別の取材では、HIVに罹っている人の話を聞いた。エイズ発症を抑える薬を飲みながら、他の感染者の就職のためにパソコンを教えている。
 ガンやエイズに罹ったからといって、人生が終わるわけでもない。それどころか、治療する側、助ける側に回ることもできる。自分の体と相談しながら淡々と働いている彼らを見ると、そんな当たり前のことに改めて気づく。
 当たり前とはいえ、誰もができることではない―そんな話題を、今年も紹介していきたい。(文)

03/01/10