コラム 樹海

 政界では「理屈はあとから貨車で来る」と言うが、昨年の暮れに発足した「保守新党」はまったく解らない。保守党の野田毅党首は党首を止める止めないの騒動を起こした揚げ句に自民党へと復党。その保守党は一度は解党して新たに旗揚げしたのが「保守新党」で党の代表には民主党を離党して参加した熊谷弘氏ときては政治評論家でもなければとても理解できるはずもない▼新党を作ったのは、民主党を離党した比例選出議員を受け入れるためなのだ。国会法などで比例議員の政党間移動は禁止されているけれども、新党であれば法に触れない。この間隙を突くために「保守新党」を立ち上げたとすれば解りやすい。それに選挙が絡んでくるからややこしくなる。自民党に泣きついた野田毅氏もながら民主党から新党に移籍の五人中の三人は比例代表の持つ意味も大きい▼つまりは「個利個欲」なのである。熊谷代表は「政策転換のため国民連合が必要」と新党結成について強調するが、説得力には欠けるし、有権者からは「無節操」の声が出るのではないか。それに─蛇足ながらつけ加えると政界再編の幕を開いた細川護煕氏が率いる日本新党(1992年)に始まり頭に「新」の字を使う政党が、この十年間に二十以上を数える▼ところが新進党も他の党も長く続いたのは殆どないのが現実なのである。綱領には憲法改正や安全保障などを打ち上げてはいるが、旧保守党の物をそのまま持ってきたようなものにすぎない。さて「保守新党」がこの先どうなりますことやら。  (遯)

03/01/11