揺れる福島県人会=桜井会長辞任へ 多額現金盗難で

1月18日(土)

 昨年九月、空き巣に入られドルや円など現金十二万レアルを奪われた件で、責任の取り方をめぐって、福島県人会(桜井仁会長)が揺れている。会議を重ねた結果、金庫を管理していた小林成十会計個人に責任を問う、会長以下役員が総辞職するーなどの意見が交錯したという。損失補填に向けた進展は特に見られない。犯人逮捕もおぼつかないまま、年を越し、二十五日の総会では、役員選挙が実施される。桜井会長が引責辞任をする。
 桜井会長によると、昨年八月、県人会創立八十五周年に当たって、県や会員などから祝儀として十二万レアル相当を受け取り、金庫に保管した。
 桜井会長と西徹第二副会長は、大金を金庫に入れておいたら危険だから全額レアルに両替の上、銀行に預金するよう、小林会計に指示していたという。
 しかし、現金は金庫から取り出されることはなく、空き巣事件に発展した。
 自国通貨レアルは容易に預金できたとして、レアルでの被害分、七千レアルを小林会計に求める案が浮上した。
 桜井会長は、「注意したのに聞かなかった」と、同会計に非があると言う。
 これに対して、小林会計は、「(七千レアルの弁償について)すべてデマ。いい加減なことを言われるのは迷惑だ」と強く反発。「金庫の管理は、個人で決めることではない。指示を受けた覚えは無い。役員会で決定したことだけをやっている」と、大人の対応を求めている。
 事件後、執行部役員が総辞職すべきとの案も出された。桜井会長は、「やめるのは楽だが、それは無責任で新役員が困るだけ、事件が解決するまでは続けなければならない」と、任期中の退陣を退けた。
 二十五日の総会で提出されるシャッパに桜井会長の名は無く、引責辞任をする形となる。小島友三郎第一副会長が会長に推されている。
 総会では、会計検査がすんなり通るのか、懸念されている。
 事件は、桜井会長が訪日中に発生した。県庁職員は、「ブラジルではそんな大金を金庫に閉まっておいても大丈夫なんですか」と、皮肉った。
 さらに、「知事の耳には入れないほうがよい。県人会の恥じ」と、佐藤栄佐久知事の元に謝罪に向かおうとした桜井会長を押さえた。
 母県との関係が冷え込むことは確実で、コロニアで指折りの移住大県は、踏んだり蹴ったりの状態になっている。