東京農大給費留学の成果=経営コンサルタント業立ちあげ=第1期生本田さん まだ32歳の若さ=卒業後日本で就職したが=「ゆとりほしい」と帰国

1月21日(火)

 東京農業大学(進士五十八学長)は九八年四月、経営、経理の授業に力を入れるため、国際食料情報部生物企業情報学科を新設、中国、韓国をはじめ世界十二カ国から特別給費留学生を募った。ブラジルから、本田ミゲール欣さん(三二)が第一期生として入学、〇二年三月に卒業した。同年十二月、帰国、経営コンサルタント業を立ちあげた。
 本田さんはブラジルの大学を二年で中退した。農大出身でもある母親の薦めで、留学試験を受験した。
 日本語の特別授業を除いて、一年から四年まで日本人学生と同じように、講義を受けた。
 卒論の作成などのため、食料雑貨屋、ビデオレンタル屋を中心にラテン系店舗約五百店を回り、データーベース化した。
 政府発表のものとは別の外国人登録者統計も入手可能。「ラテン系に関する情報はすべて網羅できる」。 この豊富な資料を武器に、経営コンサルタント業を始めた。開店、開業のアドバイス、PRキャンペーンの適当な時期など各種相談に乗る。
 実は、卒業後、電信電話関係の企業に勤務していた。休日は日曜日だけで平日は仕事に追われた。ケーブルが落ち、午前二時にデーターセンターに赴き、そのまま出勤、午後十時まで、働いたことも。
 「仕事だけ。プライベートはない」。ゆとりのある人生を送りたいと、生活の本拠をブラジルに戻した。「コンピューターがあれば、日本にいる必要はない」。営業と現地調査を兼ね、一年間に数回、訪日する。
 イピランガ区内の自宅前に借りた仮事務所はキチネッチ。コンピューターと事務机、それにソファーを置いただけでまだまだ、殺風景だ。
 行く行くは、規模を拡大するつもり。スペインに留学、MBA(経営学修士)の取得も考えている。