コラム 樹海
農薬の残留は人々の健康を蝕む。本紙(十七日付3面)の《農薬汚染度増す農産物》―八割が許容数値を超える―を読まれた方は多かったのではなかろうか。農薬汚染の野菜、果物のうちイチゴが〃汚染度トップ〃の座に。イチゴ大好き組は警戒心を増幅させたに違いない。次いでトマト、バタタ、マモン……とつづく▼検査九品目の中でニンジンだけがゼロ%。だからといって毎日こればかりを食べるわけにもいくまい。消費者の思いは複雑である。今回の調査は厚生省の衛生監督機関によるもので権威あるデータといえる。対象は九品目の野菜、果物だけに絞られた。サンパウロ、パラナ、ミナス、ペルナンブーコ四州にあるスーペルメルカードの店頭から集めたという。但し、どの州のものが多かったかなどの詳細はわからない▼最近、消費者は汚染情報に対し敏感になっている。言うまでもなく農薬汚染の問題解決は安全基準の厳守と取り締まりの徹底以外にない。そういえば昨年、日本で中国産の輸入冷凍ホーレン草から残留農薬が検出され波紋を呼んだ。安全基準を超した〃毒野菜〃に消費者がそっぽ向くのは至極当然のこと。安値だからだけでは客は寄りつかない。この影響で中国産野菜の輸入は軒並み落ち込んだ実例がある▼当地において無農薬の有機農業に精出す農家が増えてきたのは喜ばしい。有機農産物の生産者とこれを求める消費者との深い信頼と繋がりにより「食の安全」が保たれていくことになろう。 (田)
03/01/22