被爆者健康診断ブラジルでは見送り

1月24日(金)

 【東京発二十二日】広島県は二十二日、南米五カ国の被爆者健康診断のため長崎県と合同で医師団を派遣するが、被爆者が最も多いブラジルでの健診実施を見送ると発表した。
 県によると、海外での被爆者健康手帳の交付や、健康管理手当の支給の実現などを求める現地の被爆者団体が、国の在外被爆者支援
の在り方に反発し、受診を拒否したためという。
 ブラジルでは意見交換にとどめ、一行が帰国後、厚生労働省などに報告するとしている。南米への訪問健診は過去九回実施しているが、昨年六月に在外被爆者支援事業について、国が要項策定した後初めて。
 一行は医師二人と両県職員三人の計五人で、二十三日に出発し、期間は十五日間。健診はアルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルーの四カ国で実施。
 受診者は事前に現地の医療機関で血液検査などを受けており、その結果を基に医師が健康管理のアドバイスなどをする。会場までの交通費も支給する。
 しかし、南米五カ国にいる計約百八十人の被爆者のうち八割以上がブラジル在住で、今回の健診を実施する四カ国在住の被爆者はわずか二十五人という。
 在外被爆者の訪問健診は南米のほか米国、カナダでも行われている。