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医師団被爆者の実態視察=切なる願い伝わる=友好病院日本レベルと評価

1月28日(火)

 南米巡回医師団が来伯、二十四、二十五両日、ブラジル在住の被爆者の実態を視察した。医師団の派遣は、在外被爆者を対象に、国が隔年実施している支援事業。今年が十回目になる。治療を伴わない健康診断では救済にならないと、在ブラジル原爆被爆者協会(森田隆会長)が受け入れを拒否。協議の結果、今回は健康に関する講演と懇談会だけに止まった。在韓原爆被爆者裁判の大阪高裁での判決を受けて国が上告を断念したため、健康管理手当ての支給が最大の焦点となっている。国の対応について、片山克則広島県福祉保険部被爆者・毒ガス障害者対策室長は、厚生労働省が見解を出していないとコメントを避けた。
 被爆者協会との意見交換会は二十五日午後一時から、サンパウロ市サウーデ区の同協会で開かれた。あいさつに立った森田会長は、「昨年、政府がようやく私の願いを叶えてくれた。ここにいる皆さんも大きな念願に一歩近づいたことを喜んでいる」と、声を詰まらせた。
 柳田実朗広島鉄道病院第三内科部長が健康管理、古河隆二日本赤十字社長崎原爆病院消化器化部長が肝臓疾患について、それぞれ講演した。
 この後、出席者は広島、長崎県の担当職員より在外被爆者支援事業の概要に説明を受けた。
 健康管理手当てを受給するためには、国の指定した病院での診察が義務付けられている。日伯友好病院(大久保拓司院長)を指定病院に加えてほしいと、被爆者協会は要請。前もって、健康管理手当ての取得、更新などについて、県側に質問事項を伝えておいた。
 県側は、具体的な方針を国が検討中などと明確な返答をせず、被爆者は満足のいく返事を得られなかった。「私たちは口減らしのために、移住した。それを差別するのは心外だ」と、非難をぶつける出席者もいた。
 片山室長は、「被爆者の思いがひしひしと伝わってきた。在外被爆者の実情を国に報告する」と、語った。
 この日は、サンパウロ市制記念日と重なった。通常の会合より倍近くの、約五十人が出席した。
 医師団は二十四日、友好病院を視察した。古河部長は、「設備は整っており、日本と比べても遜色は無い。優秀な医者も揃っている。ブラジルでの治療に問題はない」と、みている。
 医師団は、アルゼンチン、パラグアイなども回る。
 被爆者協会は会員名簿の作成するため、被爆者の連絡先を確認している。問い合わせ電話番号=0(XX11)577・0323。

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