コラム オーリャ!

 福島県人会の定期総会が二十六日、開かれた。直前、ある男性の賛助会員が会館を訪れ会費を払った。 裸のままの五十レアル札を二枚、震える手でしっかり握り締め、声を絞り出した。「一枚は会費、もう一枚は見舞金です」。足取りは重く健康状態も良くはなさそうだった。
 話を聞けば最近、詐欺事件に遭い、多額の金を騙しとられたという。それでも、空き巣に入られた県人会を助けたいと、なけなしの貯金を下した。この男性は用が済むと、すぐに帰途に就き、総会には出席しなかった。
 総会は、「私的なものだから」と、部外者の立ち入りを禁止、内密に進められた。盗難事件の責任をとる形で桜井会長は職を解かれ、新たな会長、副会長が誕生。冷え込んだ母県との関係修復を図る。 
 五十レアルに込められた思いを無にしたくない。           (古)

03/01/30