日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(1)=コチアで堆肥生産=販路広げるBIOMIX

2月4日(火)

 第三回日系農協活性化セミナー(JICA、農拓協共催)が二月二十七日から行われた。ブラジルを中心とした南米各地から集まった各農協の代表者は、三日間、講義や意見交換などハードなスケジュールをこなしながらも有意義な時間を過ごし、今回から始められた分科会では活発な情報交換が行われた。三十日からは施設園芸、果樹・野菜コースの二つのグループに別れて、一泊二日の視察旅行を行った。

 果樹・野菜コースには十二人の参加者と村上ビセンテJICA担当補佐、邦字紙、ジョルナル・ニッポブラジル紙の記者が同行した。
 連日のセミナーの疲れもものともせず、午前十時の出発時には気心の知れた同士が歓談する光景が見られた。
 小松雹玄国際協力事業団サンパウロ支所長に見送られるなか、一行は最初の訪問予定地であるコチア郡のBIOMIX堆肥工場へ向かった。
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 途中から降り出した雨は止むことなく続く。六十アルケールの敷地のあちこちにボタ山のように立ち並ぶ堆肥の山からは発酵熱でもうもうと煙が立ちのぼる。
 サンパウロ全域、リオデジャネイロ、ベロ・オリゾンテなどに送られている同工場の堆肥は花卉や果樹、ゴルフ場などに使用されており、遠くはバイーア州のパパイヤ生産にも使用されている。
 西村ファビオ工場長は堆肥の成分を「オガクズが半分、四割が鶏フンや馬フン、残りは石灰を使っている」と説明する。
 ゴイアバの発酵した果汁などを加えながら、七回ほど混ぜてできた肥料六割に黒土を四割加える。出荷までには数カ月を要する。
 西村さんは堆肥造りで一番大事なことは「最低七十度まで発酵温度を上げること」と強調し、「堆肥の山の温度を見て回ることは毎日の欠かせない仕事」と熱いほどの堆肥を手にしながら説明する。
 同工場では毎日、五、二十、三十五キロの堆肥二千袋を出荷しており、現在は作業場を拡張工事中だ。 
 シトシトと降り続く雨の中、何処か懐かしい匂いの記憶を辿りながら、参加者は次の訪問地、イビウーナへ向かった。
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 もうもうと立ちのぼる堆肥の煙を見て、ある参加者はかつて鶏フンの発酵熱を利用して、納豆を作ったことを思い出した。
「粘りのある素晴らしい納豆ができた」とのことだが、「味の方は?」と聞くと、「匂いの問題」で未確認のままだという。
   (堀江剛史記者)

■日系農協活性化セミナー 先端現場を視察(1)=コチアで堆肥生産=販路広げるBIOMIX

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