コラム オーリャ!

 どこか懐かしい雰囲気が漂う場所――。JICA農協セミナー視察で、セアザ近くのグランデ・サンパウロ南伯農協に立ち寄った時、そう感じた。古き良き日系農協の雰囲気がしぶとく生き延びている、とでも言おうか。
 古びた倉庫のような建物に販売部があり、肥料、巻ビニールなどが入り口にうず高くつまれ、その奥の薄暗がりに薬品棚を背にしたカウンター、会計部がある。出納係の日系女性は手書きの領収書を渡す。青色の上っ張りを着た、実直そうな中年の日系男性職員がボールペン片手に電卓をたたく。長いつきあいの組合員同士が日本語で、近況を熱心に語り合う。
 旧コチア本部を横目に同農協へ向かったせいか、少しおセンチな気分に浸ってしまったのかもしれない。活躍する農協の姿に、ほっとした。(深)

03/02/05