コラム オーリャ!

 満開の桜の下には死体が埋まっている、と言った日本の作家がいたが、話題のハリウッド映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」を観てその言葉を思い出した。
 世界の首都を謳歌する都市の繁栄が築かれるまでには、さまざまな血で塗られた歴史があったな、と。
 各国移民のせめぎあい。そしてギャングが跋扈した暗黒街にみなぎる野蛮で猥雑なエネルギーを描き切った。冒頭、積もった雪が鮮血に染まる移民同士の決闘場面に始まり、話は南北戦争の直前まで展開する。愛がテーマらしいが、正義のために戦い、夢をかけた新天地で命を落としゆく開拓者に焦点はあった。
 イラク問題で揺れるいま、建国黎明期を見詰め直す、かの国民の視線を想像してみる。
 同じ移民国家としてブラジル史を振り返る、いい機会でもあった。日本はきょう十一日が、建国記念日―。   (大)

03/02/11