消費者中心の豊かな社会を=33歳の日系3世=消費者保護局理事に就任=大統領の専門家起用命令で

2月12日(水)

 サンパウロ州の消費者保護センター(PROCON)で法務担当理事をしていた和田・森下リカルドさん(三三、三世、プレジデンテ・プルデンテ市出身)が四日、ブラジリアで法務省消費者保護局理事に就任した。ルーラ大統領が現場を知るPROCONの専門家を採用するように命令したことによる。世界でも最も進んだブラジル消費者法の精神を現実社会の中で実現させたい、大統領の期待にこたえたい、と意欲を燃やしている。

 和田理事は十一日、同局のパトリシア・バロス次官を伴って来社、就任あいさつした。
 同理事はサンパウロ・カトリック大学法学部を卒業。サンパウロ大学法科で消費者保護をテーマに修士の資格を取った。一九九七年から〇三年までサンパウロ州PROCON法務担当理事を務めた。九七年に新消費者法が発令されたから、新法運営に習熟している。大統領の命令で、PROCONから初めて起用されることが決まった。和田理事は、「消費者保護局は市、州のPROCONを統括するのではなく、連邦政府の立場からPROCONの活動を協力する機関」と説明する。
 自動車、薬品のリコールだけでなく、未成年者の喫煙問題などにも取り組む。たばこを未成年者に売らないだけでなく、教育、保険環境を整備するなど総合的な取り組みが必要と力説する。消費者は権利があることを知り、消費者法を活用し、消費者としての責任を果たしてはじめて市民権を得、豊かな生活が実現できる。
 サンパウロ市のPROCONは毎日千八百件の苦情に対応しており、八割を解決している。長時間かかる裁判より、即決できることがPROCONの長所だ。生産者と消費者二人の前で話を聞き、解決していく。和田理事は今まで、電話に関する苦情が一位であったものが、今年から銀行のサービスが一位になるとみる。苦情に関する統計は三月に発表される。
 和田理事は、連邦政府に因習として残る中央集権主義と闘う決意だ。市民の声はこの中央集権主義によって阻まれ、消費者の問題は解決されることは少なかった。問題が市、州、連邦へと上がるにしたがって、薄くならざるをえない。この機構を改革するのが自分の使命と自覚している。
 九七年発効の消費者法は、特定民族に対して偏見を持つ宣伝、広告を禁止している。和田理事は、一昔前、日本人、アジア人に対して偏見に満ちたプロパガンダがあったことに憤りを覚える、若い日系三世でもある。