コラム 樹海

 このところ新聞紙上には「米国と西欧に溝」の見出しがよく載る。イラクへの攻撃を巡る独仏との意見の対立が深刻化しているのは事実ながら─米国としては「武力行使を支持する」と表明している欧州の十八ヵ国を重視する方針を固めたらしい。独仏は欧州の要の国だけれども、英伊やポルトガルなどの八ヵ国が米支持の声明を発表し続いてルーマニアなど十ヵ国がイラクの大量破壊兵器の打破を叫ぶ▼独仏には露中が同調するし国際的な影響力は大きい。が、欧州全体の数で見れば米の戦略を支持する勢力が圧倒的に多い。ブッシュ米大統領としては、世界的な支援を受けながらのイラク戦争が夢だろうけが、親しい国と信じてきた独仏の背信にも似た言動は許し難いと映るに相違ない。それに─米政府のフセイン追放の決意は固い。戦端を開くのに備えた準備も着々と進めている▼空母は七隻が湾岸に集結するだろうし兵員の増派も続く。イギリス軍も大部隊を派遣している。今の情勢では三月には攻撃の火蓋が切られるの公算が強い。勿論、安保理の決議に従っての戦争が願いながら、米国は単独でも攻撃の権利があるの主張を繰り返しているし「第二の湾岸戦争」は避けられないのではないか。唯一の回避はフセイン大統領の政権放棄と亡命しかあるまい▼日本としては、まだ明確な方針を決めてはいないのだが、最終的には「米国を支持」と見たい。インド洋へのイージス艦派遣はアフガンへの支援ながらあの態勢でもイラク攻撃への支援は十分に可能なのだから─。 (遯)

03/02/13